hachiroetoのものぐさ遊読帖

自治体職員。仕事は福祉系。読書は雑食系。

人類・人間・人生

【2705冊目】宮本輝『錦繍』

錦繍(きんしゅう) (新潮文庫)作者:宮本 輝新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン27冊目。昨日紹介した『白いしるし』と同じ、30代の女性が主人公。でも、その二人の、なんと違うことか。『白いしるし』の夏目さんは、よく言えば若々しく…

【2701冊目】アーネスト・ヘミングウェイ『老人と海』

老人と海(新潮文庫)作者:ヘミングウェイ新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン23冊目。ちなみに「100冊」に入っているのは新訳ですが、今回はなじみの深い福田恆存訳で再読しました(だから表紙も旧バージョン)。多くの人が最初に触…

【2697冊目】アルベール・カミュ『異邦人』

異邦人 (新潮文庫)作者:カミュ新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン19冊目。大学生の頃、一度読みましたが、その時はなぜこれが文学史上に残る名作と言われるのか、あまりピンときませんでした。唐突な殺人に至る前半は退屈で、後半の…

【2683冊目】トルーマン・カポーティ『冷血』

冷血 (新潮文庫)作者:トルーマン カポーティ新潮社Amazon 5年にわたる取材をもとに、実際に起きた事件を描く。今では珍しくもないクライム・ノンフィクションの手法だが、当時は斬新だった。もっとも著者自身はこの本を「ノンフィクション・ノヴェル」と呼…

【2682冊目】宇佐美まこと『展望塔のラプンツェル』

展望塔のラプンツェル作者:宇佐美 まこと光文社Amazon こないだ読んだ『羊は安らかに草を食み』がとても良かったので、同じ著者の作品ということでコチラを読んでみました。いやあ、驚きました。同じ作者とは思えないほど、「羊」とはまったくトーンが違いま…

【2671冊目】鬼海弘雄『世間のひと』

世間のひと (ちくま文庫)作者:鬼海 弘雄筑摩書房Amazon 東京・浅草、浅草寺。著者は、1973年から40年にわたり、そこに行き交う人を撮り続けた。撮られているのは、ほとんどが無名の人ばかり。言うなれば、私が普段すれ違っている人、電車で乗り合わせた人と…

【2669冊目】ギュスターヴ・フローベール『ボヴァリー夫人』

ボヴァリー夫人 (新潮文庫)作者:ギュスターヴ フローベール新潮社Amazon 美しい人妻エンマは、平凡な夫に飽きていた。夢見ていたようなロマンティックな結婚生活が得られず、ついつい浮気に走ってしまう。最初は、女遊びに慣れた中年イケメンのロドルフに誘…

【2658冊目】南木佳士『からだのままに』

からだのままに (文春文庫)作者:南木 佳士文藝春秋Amazon 医師であり、作家でもある著者が、これまでの半生を振り返って綴るエッセイです。特に派手だったり面白い話があるというわけではないのですが、どのエッセイも、じんわりと身体に沁み込むような味わ…

【2639冊目】トニー・パーカー『殺人者たちの午後』

殺人者たちの午後作者:トニー・パーカー飛鳥新社Amazon これはすごい本だ。滅多にない一冊だ。収められているのは、10のインタビュー。その相手は、男性もいれば女性も、若者もいれば老人もいる。共通点はただひとつ。殺人を犯し、終身刑となったこと。ちな…

【2636冊目】モーリヤック『テレーズ・デスケイルゥ』

テレーズ・デスケイルゥ(新潮文庫)作者:モーリヤック新潮社Amazon テレーズの夫ベルナールは、暴力を振るうわけでも、酒やギャンブルにハマっているわけでも、浮気しているわけでもない。まあ、世間一般でいえば、「良い夫」ということになるのだろう。と…

【2632冊目】ジャン・ジュネ『泥棒日記』

泥棒日記 (新潮文庫)作者:ジャン ジュネ新潮社Amazon 「裏切りと、盗みと、同性愛が、この本の本質的な主題である」(p.256)本書では同性愛を、裏切りや盗みと同列の悪徳に満ちた行為として描いている。この本が書かれた時代はそういうふうに見られていたのだ…

【2621冊目】せなけいこ『ねないこはわたし』

ねないこはわたし作者:けいこ, せな文藝春秋Amazon 『ねないこ だれだ』でおなじみの絵本作家、せなけいこさんの自伝的作品です。おなじみの切り絵もたくさん登場して、見ているだけてたのしい一冊になっています。せなさんの最初の絵本は、自分の子どもにに…

【2611冊目】マーク・チャンギージー『〈脳と文明〉の暗号』

〈脳と文明〉の暗号: 言語と音楽、驚異の起源 (ハヤカワ文庫NF)作者:マーク・チャンギージー早川書房Amazon タイトルだけでは何の本なのかさっぱりわからないが、原題は「Harnessed」で、これには「自然の力をうまく利用する」というニュアンスがあるという…

【2603冊目】横山秀夫『ノースライト』

ノースライト作者:横山秀夫新潮社Amazon 横山秀夫といえば警察小説のイメージが強かったので、読んでちょっとびっくりした。主人公は建築士。殺人事件や大きな事故が起きるわけでもない。事件らしい事件といえば、主人公の青瀬が設計した家を発注した家族が…

【2598冊目】庄司薫『赤頭巾ちゃん気をつけて』

赤頭巾ちゃん気をつけて (新潮文庫)作者:庄司 薫新潮社Amazon 1969年芥川賞受賞作。学園紛争とかゲバ棒とかマオジューシとかも出てきて時代を感じるが、しかしこの本の個性そのものは、少しも古臭くない。全編が「ぼく」の一人語りで、そのため村上春樹に影…

【2588冊目】河合隼雄・村上春樹『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』

村上春樹、河合隼雄に会いにいく(新潮文庫)作者:河合 隼雄,村上 春樹新潮社Amazon 刊行は1996年。対談の時期は1995年あたりなので、阪神淡路大震災、オウム真理教の事件などが起きた頃だ。直接そのことに触れた箇所は少ないが、今読むと、全体を通して事件…

【2583冊目】辻村深月『盲目的な恋と友情』

盲目的な恋と友情(新潮文庫)作者:辻村深月新潮社Amazon いや〜、びっくりだった。辻村深月って、こんな「怖い」小説を書く人だったのか。この人の本は数冊しか読んでいないので、あまりえらそうなことは言えないが、今まで読んだことのある作品とは、明ら…

【2569冊目】サマセット・モーム『雨・赤毛 他一篇』

雨/赤毛―他一編 (岩波文庫 赤 254-1) 作者:サマセット・モーム メディア: 文庫 こないだ『月と六ペンス』を読んでモームが気になったので、だいぶ前から持っているやつを引っ張り出してきた。1962年初版の岩波文庫版だが、どうやらすでに絶版らしい。「土人…

【2563冊目】デイヴィッド・ベインブリッジ『中年の新たなる物語』

中年の新たなる物語 (動物学、医学、進化学からのアプローチ) 作者:デイヴィッド ベインブリッジ 発売日: 2014/11/22 メディア: 単行本 中年って何だろう。 私やあなたは「中年」だろうか? 少なくとも、こんなタイトルの本を手に取って読んでしまった私は、…

【2531冊目】チョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』

82年生まれ、キム・ジヨン作者:チョ・ナムジュ発売日: 2019/02/13メディア: Kindle版 読んでいて「これは私のことだ」と思える小説が、ときどきある。おそらく多くの女性にとって、本書の主人公キム・ジヨンの人生は、他人事には感じられないのではないか。…

【2522冊目】エドワード・P・ジョーンズ『地図になかった世界』

地図になかった世界 (エクス・リブリス) 作者:エドワード P ジョーンズ 発売日: 2011/12/21 メディア: 単行本 なんだかとんでもないモノを読んでしまった気がする。なんというか、この本の中に世界がまるごと入っているようなスケールの小説。『カラマーゾフ…

【2497冊目】沢木耕太郎『テロルの決算』

新装版 テロルの決算 (文春文庫) 作者:沢木 耕太郎 発売日: 2008/11/07 メディア: 文庫 昭和35年10月12日、社会党委員長浅沼稲次郎が、日比谷公会堂演壇上で刺殺された。加害者は当時17歳の山口二矢。本書はこの衝撃的な事件に至る流れを、浅沼、山口の両面…

【2478冊目】川上未映子『ヘヴン』

ヘヴン (講談社文庫) 作者:川上 未映子 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2012/05/15 メディア: 文庫 苛め(著者は「いじめ」でも「イジメ」でもなく「苛め」と書く)を扱った小説ということは知っていた。たしかに、かなりひどい苛めの描写が頻繁に登場する…

【2472冊目】山田風太郎『あと千回の晩飯』

あと千回の晩飯 山田風太郎ベストコレクション (角川文庫) 作者:山田 風太郎 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2011/12/22 メディア: 文庫 人を食った、という表現がぴったりのエッセイ集。残りの人生で食べられる晩飯はあと千回くらいか、というところか…

【2470冊目】ウィリアム・シェイクスピア『マクベス』

マクベス (新潮文庫) 作者:シェイクスピア 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1969/09/02 メディア: 文庫 言わずと知れたシェイクスピア四大悲劇のひとつである。本文わずか112ページ。だがその中に、人類の体験しうるもっとも深く、もっともおぞましいドラマ…

【2466冊目】工藤美代子『悪名の棺 笹川良一伝』

悪名の棺 笹川良一伝 (幻冬舎文庫) 作者:工藤 美代子 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 2013/04/10 メディア: 文庫 福祉の仕事をやっていると「日本財団」という名前をよく見るが、そのたびにこの人の社会への貢献の大きさを思わされる。だがその業績は、果…

【2451冊目】アンドレ・ルロワ=グーラン『世界の根源』

世界の根源 (ちくま学芸文庫) 作者:クロード‐アンリ ロケ,アンドレ ルロワ=グーラン 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2019/07/10 メディア: 文庫 だいぶ前に読んだ『身ぶりと言葉』は、すごいことが書かれているのはなんとなくわかるのだが、なかなか入っ…

【2446冊目】エイドリアン・オーウェン『生存する意識』

生存する意識――植物状態の患者と対話する 作者:エイドリアン・オーウェン 出版社/メーカー: みすず書房 発売日: 2018/09/19 メディア: 単行本 生命維持装置につながれ生きていることはできるが、全く何の反応も示さない、いわゆる植物状態になると、人は、物…

【2411冊目】アラン・シリトー『長距離走者の孤独』

長距離走者の孤独 (新潮文庫) 作者: アランシリトー,Alan Sillitoe,丸谷才一,河野一郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1973/09/03 メディア: 文庫 購入: 4人 クリック: 33回 この商品を含むブログ (64件) を見る 本は著者の経歴で読むものではないが、この…

【2403冊目】中上健次『枯木灘』

枯木灘 (河出文庫 102A) 作者: 中上健次 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 1980/06 メディア: 文庫 購入: 17人 クリック: 131回 この商品を含むブログ (112件) を見る 秋幸は熊野の路地で「蠅の王」龍造とフサの子として生まれ、フサと夫の繁蔵に育て…