hachiroetoのものぐさ遊読帖

自治体職員。仕事は福祉系。読書は雑食系。

人類・人間・人生

【2759冊目】ハリエット・アン・ジェイコブズ『ある奴隷少女に起こった出来事』

ある奴隷少女に起こった出来事 (新潮文庫)作者:ジェイコブズ,ハリエット・アン新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン83冊目。当初はフィクションと思われて忘れられていたが、実話とわかるや否やベストセラーになったといういわくつきの…

【2754冊目】乃南アサ『しゃぼん玉』

しゃぼん玉 (新潮文庫)作者:アサ, 乃南新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン78冊目。親から愛されず育ち、何をやっても長続きせず、ひったくりで生活している翔人が、ひょんなことから山深い村で老婆の世話になり、人間性を取り戻して…

【2747冊目】山本周五郎『さぶ』

さぶ (新潮文庫)作者:周五郎, 山本新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン71冊目。最初に読んだのは大学生の頃だっただろうか。そのときは通り過ぎるように読んだのだと思うが、それなりに年を重ねてから読むと、印象が全然違う。たとえ…

【2741冊目】山崎豊子『約束の海』

約束の海 (新潮文庫)作者:豊子, 山崎新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン65冊目。海上自衛隊の潜水艦と釣り船の衝突事故に翻弄される二等海尉、花巻朔太郎を主人公とした長編小説です。歴史をまたいだ大長編として構想されつつ、著者…

【2739冊目】中村文則『土の中の子供』

土の中の子供 (新潮文庫)作者:文則, 中村新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン63冊目。短いけれど、重く暗い、ねっとりと絡みつくような小説です。いわく言い難い異様な迫力があって、読み始めたら本を置けなくなりました。親に捨てら…

【2725冊目】柚木麻子『BUTTER』

BUTTER(新潮文庫)作者:柚木麻子新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン48冊目。男たちに取り入って財産を奪い、殺害したとされる獄中の梶井真奈子。その独占インタビューを実現しようとするが、次第に梶井に取り込まれていく里佳。その…

【2724冊目】フョードル・ドストエフスキー『罪と罰』

罪と罰〈上〉 (新潮文庫)作者:ドストエフスキー新潮社Amazon 罪と罰〈下〉 (新潮文庫)作者:ドストエフスキー新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン46・47冊目。何度読んだかわからない。そして、読むたびに新しい発見と感動がある。名作…

【2723冊目】ウィリアム・シェイクスピア『ハムレット』

ハムレット (新潮文庫)作者:ウィリアム シェイクスピア新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン45冊目。父王の亡霊が登場する冒頭のシーンから、いくつもの死体が転がる壮絶なラストまで、圧倒的な密度と緊張感に満ちた復讐譚。シェイクス…

【2717冊目】三島由紀夫『金閣寺』

金閣寺 (新潮文庫)作者:由紀夫, 三島新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン39冊目。圧倒的な美文で綴られる、圧倒的に醜悪な自己韜晦。再読でしたが、読むのがツラい一冊でした。初読は大学生の頃だったと思いますが、当時は主人公の溝…

【2705冊目】宮本輝『錦繍』

錦繍(きんしゅう) (新潮文庫)作者:宮本 輝新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン27冊目。昨日紹介した『白いしるし』と同じ、30代の女性が主人公。でも、その二人の、なんと違うことか。『白いしるし』の夏目さんは、よく言えば若々しく…

【2701冊目】アーネスト・ヘミングウェイ『老人と海』

老人と海(新潮文庫)作者:ヘミングウェイ新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン23冊目。ちなみに「100冊」に入っているのは新訳ですが、今回はなじみの深い福田恆存訳で再読しました(だから表紙も旧バージョン)。多くの人が最初に触…

【2697冊目】アルベール・カミュ『異邦人』

異邦人 (新潮文庫)作者:カミュ新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン19冊目。大学生の頃、一度読みましたが、その時はなぜこれが文学史上に残る名作と言われるのか、あまりピンときませんでした。唐突な殺人に至る前半は退屈で、後半の…

【2683冊目】トルーマン・カポーティ『冷血』

冷血 (新潮文庫)作者:トルーマン カポーティ新潮社Amazon 5年にわたる取材をもとに、実際に起きた事件を描く。今では珍しくもないクライム・ノンフィクションの手法だが、当時は斬新だった。もっとも著者自身はこの本を「ノンフィクション・ノヴェル」と呼…

【2682冊目】宇佐美まこと『展望塔のラプンツェル』

展望塔のラプンツェル作者:宇佐美 まこと光文社Amazon こないだ読んだ『羊は安らかに草を食み』がとても良かったので、同じ著者の作品ということでコチラを読んでみました。いやあ、驚きました。同じ作者とは思えないほど、「羊」とはまったくトーンが違いま…

【2671冊目】鬼海弘雄『世間のひと』

世間のひと (ちくま文庫)作者:鬼海 弘雄筑摩書房Amazon 東京・浅草、浅草寺。著者は、1973年から40年にわたり、そこに行き交う人を撮り続けた。撮られているのは、ほとんどが無名の人ばかり。言うなれば、私が普段すれ違っている人、電車で乗り合わせた人と…

【2669冊目】ギュスターヴ・フローベール『ボヴァリー夫人』

ボヴァリー夫人 (新潮文庫)作者:ギュスターヴ フローベール新潮社Amazon 美しい人妻エンマは、平凡な夫に飽きていた。夢見ていたようなロマンティックな結婚生活が得られず、ついつい浮気に走ってしまう。最初は、女遊びに慣れた中年イケメンのロドルフに誘…

【2658冊目】南木佳士『からだのままに』

からだのままに (文春文庫)作者:南木 佳士文藝春秋Amazon 医師であり、作家でもある著者が、これまでの半生を振り返って綴るエッセイです。特に派手だったり面白い話があるというわけではないのですが、どのエッセイも、じんわりと身体に沁み込むような味わ…

【2639冊目】トニー・パーカー『殺人者たちの午後』

殺人者たちの午後作者:トニー・パーカー飛鳥新社Amazon これはすごい本だ。滅多にない一冊だ。収められているのは、10のインタビュー。その相手は、男性もいれば女性も、若者もいれば老人もいる。共通点はただひとつ。殺人を犯し、終身刑となったこと。ちな…

【2636冊目】モーリヤック『テレーズ・デスケイルゥ』

テレーズ・デスケイルゥ(新潮文庫)作者:モーリヤック新潮社Amazon テレーズの夫ベルナールは、暴力を振るうわけでも、酒やギャンブルにハマっているわけでも、浮気しているわけでもない。まあ、世間一般でいえば、「良い夫」ということになるのだろう。と…

【2632冊目】ジャン・ジュネ『泥棒日記』

泥棒日記 (新潮文庫)作者:ジャン ジュネ新潮社Amazon 「裏切りと、盗みと、同性愛が、この本の本質的な主題である」(p.256)本書では同性愛を、裏切りや盗みと同列の悪徳に満ちた行為として描いている。この本が書かれた時代はそういうふうに見られていたのだ…

【2621冊目】せなけいこ『ねないこはわたし』

ねないこはわたし作者:けいこ, せな文藝春秋Amazon 『ねないこ だれだ』でおなじみの絵本作家、せなけいこさんの自伝的作品です。おなじみの切り絵もたくさん登場して、見ているだけてたのしい一冊になっています。せなさんの最初の絵本は、自分の子どもにに…

【2611冊目】マーク・チャンギージー『〈脳と文明〉の暗号』

〈脳と文明〉の暗号: 言語と音楽、驚異の起源 (ハヤカワ文庫NF)作者:マーク・チャンギージー早川書房Amazon タイトルだけでは何の本なのかさっぱりわからないが、原題は「Harnessed」で、これには「自然の力をうまく利用する」というニュアンスがあるという…

【2603冊目】横山秀夫『ノースライト』

ノースライト作者:横山秀夫新潮社Amazon 横山秀夫といえば警察小説のイメージが強かったので、読んでちょっとびっくりした。主人公は建築士。殺人事件や大きな事故が起きるわけでもない。事件らしい事件といえば、主人公の青瀬が設計した家を発注した家族が…

【2598冊目】庄司薫『赤頭巾ちゃん気をつけて』

赤頭巾ちゃん気をつけて (新潮文庫)作者:庄司 薫新潮社Amazon 1969年芥川賞受賞作。学園紛争とかゲバ棒とかマオジューシとかも出てきて時代を感じるが、しかしこの本の個性そのものは、少しも古臭くない。全編が「ぼく」の一人語りで、そのため村上春樹に影…

【2588冊目】河合隼雄・村上春樹『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』

村上春樹、河合隼雄に会いにいく(新潮文庫)作者:河合 隼雄,村上 春樹新潮社Amazon 刊行は1996年。対談の時期は1995年あたりなので、阪神淡路大震災、オウム真理教の事件などが起きた頃だ。直接そのことに触れた箇所は少ないが、今読むと、全体を通して事件…

【2583冊目】辻村深月『盲目的な恋と友情』

盲目的な恋と友情(新潮文庫)作者:辻村深月新潮社Amazon いや〜、びっくりだった。辻村深月って、こんな「怖い」小説を書く人だったのか。この人の本は数冊しか読んでいないので、あまりえらそうなことは言えないが、今まで読んだことのある作品とは、明ら…

【2569冊目】サマセット・モーム『雨・赤毛 他一篇』

雨/赤毛―他一編 (岩波文庫 赤 254-1) 作者:サマセット・モーム メディア: 文庫 こないだ『月と六ペンス』を読んでモームが気になったので、だいぶ前から持っているやつを引っ張り出してきた。1962年初版の岩波文庫版だが、どうやらすでに絶版らしい。「土人…

【2563冊目】デイヴィッド・ベインブリッジ『中年の新たなる物語』

中年の新たなる物語 (動物学、医学、進化学からのアプローチ) 作者:デイヴィッド ベインブリッジ 発売日: 2014/11/22 メディア: 単行本 中年って何だろう。 私やあなたは「中年」だろうか? 少なくとも、こんなタイトルの本を手に取って読んでしまった私は、…

【2531冊目】チョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』

82年生まれ、キム・ジヨン作者:チョ・ナムジュ発売日: 2019/02/13メディア: Kindle版 読んでいて「これは私のことだ」と思える小説が、ときどきある。おそらく多くの女性にとって、本書の主人公キム・ジヨンの人生は、他人事には感じられないのではないか。…

【2522冊目】エドワード・P・ジョーンズ『地図になかった世界』

地図になかった世界 (エクス・リブリス) 作者:エドワード P ジョーンズ 発売日: 2011/12/21 メディア: 単行本 なんだかとんでもないモノを読んでしまった気がする。なんというか、この本の中に世界がまるごと入っているようなスケールの小説。『カラマーゾフ…