自治体職員の読書ノート

自治体職員です。仕事の関係上、福祉系が多めです。読書は全方位がモットー。

2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

【2695冊目】今邑彩『ルームメイト』

ルームメイト (中公文庫)作者:今邑 彩中央公論新社Amazon ※ネタバレがありますのでご注意ください。突然消えたルームメイトの麗子。部屋の電話をリダイヤルすると、つながったのは同棲相手がいなくなったという男性だった。そして主人公の春海は、麗子が二重…

【2694冊目】東野圭吾『疾風ロンド』

疾風ロンド (実業之日本社文庫)作者:東野 圭吾実業之日本社Amazon 出先で読む本がなくなったので、あわててコンビニで買った本(この行動自体どうかと思いますが)。内容もまた、お手軽なコンビニ・エンターテインメントです。炭疽菌を改造した生物兵器を研…

【2693冊目】宮﨑雅人『地域衰退』

地域衰退 (岩波新書 新赤版 1864)作者:宮崎 雅人岩波書店Amazon 最初に、ギョッとするデータが示される。この20年間で、もっとも人口が減ったのは、奈良県川上村と北海道夕張市の49.0%。川上村は労働力人口も63.2%減少している。人口減少数では、福岡県北…

【2692冊目】齋藤亜矢『ヒトはなぜ絵を描くのか』

ヒトはなぜ絵を描くのか――芸術認知科学への招待 (岩波科学ライブラリー)作者:齋藤 亜矢岩波書店Amazon 岩波化学ライブラリーの一冊。100ページほどの薄い本ですが、内容は充実しています。「絵を描く」ことは、ヒトであれば幼児のころから当たり前のようにや…

【2691冊目】劉慈欣『三体III 死神永生』

三体Ⅲ 死神永生 上作者:劉 慈欣早川書房Amazon 三体Ⅲ 死神永生 下作者:劉 慈欣早川書房Amazon 中国生まれのSF巨篇『三体』の完結編。相変わらず、予想を裏切り続ける展開が読者を飽きさせない。VRを取り入れつつ、地球を舞台に人類同士の戦いを描いた『三体…

【2690冊目】中村文則『去年の冬、きみと別れ』

去年の冬、きみと別れ (幻冬舎文庫)作者:中村文則幻冬舎Amazon 2人の女性を殺害し、死体を焼いたとされる男性へのインタビューで、この小説は始まります。でも、どこかおかしい。「資料」として突然挿入される、奇妙な手紙。何度も投げかけられる「君には無…

【2689冊目】こうの史代『ぼおるぺん古事記』

ぼおるぺん古事記 (一)天の巻作者:こうの 史代平凡社Amazon ぼおるぺん古事記 (二): 地の巻作者:こうの 史代平凡社Amazonぼおるぺん古事記 三: 海の巻作者:こうの 史代平凡社Amazon すばらしい一冊、いや三冊だ。『この世界の片隅に』で戦時下の日常を丹念…

【2688冊目】茨木のり子『倚りかからず』

倚りかからず (ちくま文庫)作者:茨木 のり子筑摩書房Amazon 茨木のり子の詩は、まっすぐに心に突き刺さる。平易な言葉が組み合わされているだけなのに、一見、散文のようなのに、実は、極限まで研ぎ澄まされ、削ぎ落とされている。なんというか、言葉の純度…

【2687冊目】村木厚子『公務員という仕事』

公務員という仕事 (ちくまプリマー新書)作者:村木厚子筑摩書房Amazon 元・厚生労働事務次官という肩書からは意外なことに、この本にはとても好感がもてた。おそらくとても真面目で、でも適度なユーモアがあって、温かい人柄なのだろう。そのことは本書から…

【2686冊目】沢木耕太郎『凍』

凍 (新潮文庫)作者:耕太郎, 沢木新潮社Amazon 山野井泰史と、山野井妙子。トップクライマーの夫婦が挑んだのは、ヒマラヤのギャチュンカンだ。高さは8000メートルをわずかに下回るが、「素晴らしい壁があり、そこに美しいラインを描いて登れる」ことが期待で…

【2685冊目】ギ・ド・モーパッサン『オルラ/オリーヴ園』

オルラ/オリーヴ園 モーパッサン傑作選 (光文社古典新訳文庫 Aモ 2-4)作者:モーパッサン光文社Amazon モーパッサン晩年の短篇集。「ラテン語問題」「オルラ」「離婚」「オトー父子」「ボワテル」「港」「オリーヴ園」「あだ花」の8篇が収められている。際…

【2684冊目】乙一『夏と花火と私の死体』

夏と花火と私の死体 (集英社文庫)作者:乙一集英社Amazon 今や有名作家の一人になった乙一だが、本書が世に出たときは、16歳の少年が書いたとは信じられないクオリティと斬新さが話題をさらったものだった。私も当時読んでびっくりしたのを覚えている。その時…

【2683冊目】トルーマン・カポーティ『冷血』

冷血 (新潮文庫)作者:トルーマン カポーティ新潮社Amazon 5年にわたる取材をもとに、実際に起きた事件を描く。今では珍しくもないクライム・ノンフィクションの手法だが、当時は斬新だった。もっとも著者自身はこの本を「ノンフィクション・ノヴェル」と呼…

【2682冊目】宇佐美まこと『展望塔のラプンツェル』

展望塔のラプンツェル作者:宇佐美 まこと光文社Amazon こないだ読んだ『羊は安らかに草を食み』がとても良かったので、同じ著者の作品ということでコチラを読んでみました。いやあ、驚きました。同じ作者とは思えないほど、「羊」とはまったくトーンが違いま…

【2681冊目】木下是雄『理科系の作文技術』

理科系の作文技術(リフロー版) (中公新書)作者:木下是雄中央公論新社Amazon タイトルも変えて、心機一転再開します。前から見守ってくれている方々からは「またかよ」と言われそうですが、こうして戻ってこられる場があるからこそ、いろいろトライできるわ…