自治体職員の読書ノート

自治体職員です。仕事の関係上、福祉系が多めです。読書は全方位がモットー。

2021-12-01から1ヶ月間の記事一覧

【2785冊目】村瀬孝生『ぼけてもいいよ』

ぼけてもいいよ―「第2宅老所よりあい」から作者:村瀬 孝生西日本新聞社Amazon 「第2宅老所よりあい」は、福岡市にある高齢者の生活の場のこと。本書は、この地域の中のごくふつうの民家に、通い、あるいは暮らすお年寄りとの日々を綴った一冊だ。高邁な理想…

【2784冊目】尾脇秀和『氏名の誕生』

氏名の誕生 ――江戸時代の名前はなぜ消えたのか (ちくま新書)作者:尾脇 秀和筑摩書房Amazon ややこしくも、大変面白い本でした。苗字があって、名前がある。現代の私たちには当たり前のことですが、実は、江戸時代以前はそうではありませんでした。当時は自分…

【2783冊目】米原万里『マイナス50℃の世界』

マイナス50℃の世界 (角川ソフィア文庫)作者:米原 万里,山本 皓一KADOKAWAAmazon 今朝のニュースで、カナダでは気温がマイナス50℃に達した、と言っているのを見て、この本を思い出しました。ロシア語通訳の達人にして名エッセイスト、米原万里の初の著作で…

【2782冊目】宮部みゆき『昨日がなければ明日もない』

昨日がなければ明日もない (文春文庫 み 17-15)作者:宮部 みゆき文藝春秋Amazon 杉村三郎シリーズの最新作。「絶対零度」「華燭」「昨日がなければ明日もない」の中編3つが収められています。「絶対零度」はとにかく読後感が胸糞。しばらく引きずってしまい…

「私家版・新潮文庫の100冊」を選んでみました

この間、100冊を通して読んでみたのですが、あらためて秀逸なセレクションだと感じ入りました。 ですので、その選書に異をとなえるつもりはないのですが、やはりこう見事な選書眼を披露されると、それをほめるだけではなんだか物足りないんですよね。及ばな…

【2781冊目】村田沙耶香『地球星人』

地球星人(新潮文庫)作者:村田沙耶香新潮社Amazon いや〜、いいですね〜。狂ってます。これまで読んできた村田作品の中でも、本書はかなりぶっちぎっています。リミッターが外れているというか、遠慮がないというか、容赦がないというか。主人公の「私」は…

【2780冊目】森川すいめい『感じるオープンダイアローグ』

感じるオープンダイアローグ (講談社現代新書)作者:森川すいめい講談社Amazon オープンダイアローグについて書かれた本はいろいろありますが、本書はその中でも、短いながらその本質に迫った一冊なのではないかと思います。その理由の一つは、著者が自らオー…

【2779冊目】國分功一郎・熊谷晋一郎『〈責任〉の生成』

の生成ー中動態と当事者研究" title="の生成ー中動態と当事者研究"><責任>の生成ー中動態と当事者研究作者:國分功一郎,熊谷晋一郎新曜社Amazon 決して簡単な内容ではありません。特に「中動態」という概念は、定義を読めば理解はできるのですが、なかなか体…

【2778冊目】草森紳一『その先は永代橋』

その先は永代橋作者:草森紳一幻戯書房Amazon 博覧強記、稀代の読書家であった草森紳一は、2008年、門前仲町の自宅で、本に埋もれるようにして亡くなりました。本書はその晩年に書かれた2つの連載エッセイを収録した一冊です。第一部「その先は永代橋」は、…