hachiroetoの読書ノート

この世の片隅でこっそり書き続けています。一応自治体職員。仕事は福祉系。読書は雑食系。

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【2829冊目】松田行正『眼の冒険』

眼の冒険 ――デザインの道具箱 (ちくま文庫) 作者:松田 行正 筑摩書房 Amazon 直線、面、形、文字。 ありとあらゆる視覚情報をこきまぜて、「見えること」と「見ること」の間隙を突く一冊です。 ★★★ まずは「相似」の話から。 雑誌『遊』で展開された「似たも…

【2828冊目】アンソニー・ホロヴィッツ『ヨルガオ殺人事件』

ヨルガオ殺人事件 上 (創元推理文庫) 作者:アンソニー・ホロヴィッツ 東京創元社 Amazon ヨルガオ殺人事件 下 〈カササギ殺人事件〉シリーズ (創元推理文庫) 作者:アンソニー・ホロヴィッツ 東京創元社 Amazon 前作『カササギ殺人事件』では、前代未聞の「入…

【2827冊目】泡坂妻夫『しあわせの書 迷探偵ヨギ ガンジーの心霊術』

しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術 (新潮文庫) 作者:妻夫, 泡坂 新潮社 Amazon 著者は推理小説家にしてマジシャンとして知られる作家ですが、本書はどちらかというと「マジシャン」としての手際があざやかな一冊です。 推理小説の中には、トリックの…

【2826冊目】ディーリア・オーエンス『ザリガニの鳴くところ』

ザリガニの鳴くところ 作者:ディーリア・オーエンズ 早川書房 Amazon 世界中で1000万部以上売れたという本書は、なんと70歳の動物学者が書いた初めての小説だそうです。 でも、それも読んで納得。 確かにこれは、動物学者でなければ書けない小説です。 ★★★ …

【2825冊目】吉村萬壱『ボラード病』

ボラード病 (文春文庫) 作者:吉村萬壱 文藝春秋 Amazon 村田沙耶香『地球星人』を紹介した際、ある人からオススメいただいた一冊。やっと読めました。 『地球星人』を受けてのリコメンドという時点で、相当ヤバいことが想像されるわけですが、 読んでみたら…

【2824冊目】國分功一郎『中動態の世界』

中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく) 作者:國分功一郎 医学書院 Amazon ケアをめぐる良書を量産されておられる「シリーズ ケアをひらく」の一冊です。とはいえ、内容はかなりガチの思想書、あるいは思想史に近いものになっています。…

【2823冊目】小山聡子『もののけの日本史』

もののけの日本史-死霊、幽霊、妖怪の1000年 (中公新書) 作者:小山 聡子 中央公論新社 Amazon もののけ(本文中では「モノノケ」)と言えば、多くの人が思い出すのは映画『もののけ姫』でしょう。 でも、そもそも「モノノケ」ってなんなんでしょうか。 この…

【2822冊目】遠藤周作『海と毒薬』

海と毒薬(新潮文庫)作者:遠藤周作新潮社Amazon 戦時中に起きた米軍捕虜の生体解剖実験を扱った、遠藤周作の代表作のひとつです。本書に出てくる人々はみな、どこか不気味です。生体解剖というとんでもないことをしようとしているのに、全員が「なんとなく…

【2821冊目】宇佐見りん『かか』

かか (河出文庫) 作者:宇佐見りん 河出書房新社 Amazon 『推し、燃ゆ』が芥川賞となった宇佐見りんさんのデビュー作です。 そういえば最近、最新作も出ましたね。 この現代日本で、新刊がこんなに話題になる作家なんて、他には村上春樹くらいなのではないで…

再開に向けた口上、というか言い訳

ええと、3ヶ月ぶりくらいでしょうか。久々に、再開したいと思います。3ヶ月間、何をしていたかと言いますと、インスタに走ってみたり、ツイッターの読書垢を作ってみたり、読書メーターをいじってみたり、noteに手を出してみたり、まあとにかくあれこれ試…

【2820冊目】伊藤亜紗・中島岳志・若松英輔・國分功一郎・磯崎憲一郎『「利他」とは何か』

「利他」とは何か (集英社新書)作者:中島岳志,若松英輔,國分功一郎,磯崎憲一郎集英社Amazon 「利他」が、コロナ禍で注目を集めているという(ホントに?)。でも、利他って一体なんなのか。今もっとも脂の乗った5人の論者による論考。とにかくメンバーがめ…

【2819冊目】ロバート・L・スティーヴンソン『ジキルとハイド』

ジキルとハイド (新潮文庫)作者:ロバート・L. スティーヴンソンShinchosha/Tsai Fong BooksAmazon 小学生の頃に児童書バージョンで読んで以来でしょうか。もっとも、読んだことはなくても、ほとんどの人がどういう話か知っているという意味では、文学史上も…

【2818冊目】凪良ゆう『滅びの前のシャングリラ』

滅びの前のシャングリラ作者:凪良ゆう中央公論新社Amazon 1か月後に地球に小惑星が激突し、人類が絶滅する世界での物語。似たような設定で思い出すのは伊坂幸太郎『終末のフール』だが、あちらは年単位の猶予があったので、どこか静かで達観した印象があっ…

【2817冊目】小川三夫『棟梁』

技を伝え、人を育てる 棟梁 (文春文庫)作者:小川 三夫文藝春秋Amazon 本当に大事なことだけが詰まった、ホンモノの仕事論。本当に大事なことは、言葉で伝えるのは不可能だ。だから、本書は「伝え方」自体を教える本になっている。聞き書きの名手、塩野米松さ…

【2816冊目】ラフカディオ・ハーン『小泉八雲東大講義録』

小泉八雲東大講義録 日本文学の未来のために (角川ソフィア文庫)作者:ラフカディオ・ハーンKADOKAWAAmazon 明治時代、お雇い外国人として東京帝国大学で教えていたラフカディオ・ハーンの講義録である。ハーンといえば『怪談』の著者小泉八雲であるが、本書…

【2815冊目】姫野カオルコ『昭和の犬』

昭和の犬 (幻冬舎文庫)作者:姫野カオルコ幻冬舎Amazon しょっちゅう理不尽な怒りをぶちまける(本書では「割れる」と表現。うまい言い方だ)シベリア帰りの父と、自分の娘のこととなるとこれっぽっちも認めない母のもと、昭和33年に生まれた柏木イク。いささ…

【2814冊目】立松和平『道元禅師』

道元禅師〈上〉 (新潮文庫)作者:和平, 立松新潮社Amazon 道元禅師〈中〉 (新潮文庫)作者:和平, 立松新潮社Amazon 道元禅師〈下〉 (新潮文庫)作者:和平, 立松新潮社Amazon とてつもない本でした。単行本で上下巻、計1,000ページ以上(その後三分冊で文庫化さ…

【2813冊目】信田さよ子『カウンセラーは何を見ているか』

カウンセラーは何を見ているか (シリーズケアをひらく)作者:信田さよ子医学書院Amazon カウンセラーは感情労働?カウンセラーの仕事は「傾聴」し「共感」すること?カウンセラーがやっているのは「心のケア」?カウンセラーは、相手の自己決定を促す仕事?い…

【2812冊目】結城浩『数学ガール』

数学ガール作者:結城 浩SBクリエイティブAmazon 今さら『数学ガール』かよ、と思われるかもしれませんが、初版が出た2007年には、こんな人気シリーズになるとは思わなかったんです。「フェルマーの最終定理」「ゲーデルの不完全性定理」などの続編、「秘密ノ…

【2811冊目】最相葉月『れるられる』

れるられる (シリーズ ここで生きる)作者:最相 葉月岩波書店Amazon 軽いエッセイかと思って、何の気無しに読み始めたのですが、読むうちに背筋が伸びてきました。思いのほか、しっかり中身が詰まっています。境目について書いた、と著者自身が冒頭に述べてい…

【2810冊目】ミカエル・ロネー『ぼくと数学の旅に出よう』

ぼくと数学の旅に出よう―真理を追い求めた1万年の物語 作者:ミカエル・ロネー NHK出版 Amazon 最近、わけあって数学の入門書系の本を何冊か読んでいるが、その中でも本書は飛び抜けている。トピックの選び方、説明のうまさ、絶妙のユーモア、いずれも申し分…

【2809冊目】村上春樹『羊をめぐる冒険』

羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)作者:村上 春樹講談社Amazon 羊をめぐる冒険(下) (講談社文庫)作者:村上 春樹講談社Amazon 村上春樹、初期の代表作です。一ヶ月まえに妻と離婚し、東京で広告の仕事をしている「僕」は、一枚の写真がきっかけで、羊をめぐる…

【2808冊目】アミール・D・アクゼル『「無限」に魅入られた天才数学者たち』

「無限」に魅入られた天才数学者たち (〈数理を愉しむ〉シリーズ)作者:アミール・D・ アクゼル早川書房Amazon 無限という言葉を聞いて、どんなイメージが浮かぶだろうか。例えば「数」。1、2、3・・・と、数字はいくら数えても終わりがない(最も大きな数字を考…

【2807冊目】宇佐見りん『推し、燃ゆ』

推し、燃ゆ作者:宇佐見りん河出書房新社Amazon これはすごかった。新たな日本文学の誕生だ。言葉の熱量がすごい。それを完全にハンドリングして、ドライブする著者の腕力がすごい。現代的でありながらすべての年齢層に通じる、個性的で普遍的な文章がすごい…

【2806冊目】イアン・スチュアート『若き数学者への手紙』

若き数学者への手紙 (ちくま学芸文庫)作者:イアン スチュアート筑摩書房Amazon 数学エッセイの名手イアン・スチュアートが、メグという女性に向けた手紙、という形式の一冊だ。メグとの関係ははっきり書いていないが、親戚のおじさんが同じ道に進んだかわい…

【2805冊目】小川洋子『琥珀のまたたき』

琥珀のまたたき (講談社文庫)作者:小川 洋子講談社Amazon その3人のきょうだいの生活は、いとおしくて、せつなくて、こわれやすいものでした。末の娘を亡くした母は、娘は「魔犬」によって命を奪われたと思い込み、残りの3人の子どもを、別荘に住まわせ、そ…

【2804冊目】ブリッタ・ベンケ『オキーフ』

オキーフ NBS-J (ニューベーシック・シリーズ)作者:ブリッタ・ベンケタッシェン・ジャパンAmazon 本書はアメリカの画家ジョージア・オキーフのハンディ・サイズの画集です。「ニュー・ベーシック・アート・シリーズ」というシリーズの一冊で、どうやら版元は…

【2803冊目】菊地大樹『日本人と山の宗教』

日本人と山の宗教 (講談社現代新書)作者:菊地 大樹講談社Amazon 山は異界。山中他界。神は山から里にやってくるのであり、人が山に入る時は、それなりの儀式や儀礼が必要。これまで、主に民俗学において、山はそのように捉えられてきました。また、山は修験…

【2802冊目】深沢潮『海を抱いて月に眠る』

海を抱いて月に眠る (文春文庫 ふ 47-1)作者:深沢 潮文藝春秋Amazon 「在日文学」という言い方は大雑把すぎてあまり好きじゃないが、こういう本を読むと、やはりこれは「在日文学」という表現が一番ふさわしいと思えてくる。頑固で横暴なだけと思っていた父…