2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧
日本人はなぜ切腹するのか作者:千葉 徳爾東京堂出版Amazon 絶版のため図書館で借りたが、これは面白い。どこかで復刊してはくれないか。面白いが、痛い本でもある。とにかく「腹のかっさばき方」がいろいろ出てくる。一文字に十文字、途中でつっかえたらどう…
はじめての短歌 (河出文庫 ほ 6-3)作者:穂村 弘河出書房新社Amazon 「空き巣でも入ったのかと思うほどわたしの部屋はそういう状態」「空き巣でも入ったのかと思うほど私の部屋は散らかっている」いきなり2つの短歌を並べましたが、最初のものが平岡あみさん…
地下鉄道 (ハヤカワepi文庫)作者:コルソン ホワイトヘッド早川書房Amazon アメリカ南北戦争の前、奴隷制が合法だった時代が舞台。主人公のコーラは3世代前からの奴隷で、ジョージアの農場で働かされているが、あまりに過酷な環境に耐えかね、「地下鉄道」の…
徘徊タクシー (新潮文庫)作者:恭平, 坂口新潮社Amazon 認知症の人の「徘徊」というのは、本当に徘徊なんだろうか、そこには何か別の意味や目的地があるのではないか。だったら、そういうお年寄りを乗せて時空を超える「徘徊タクシー」をやろう、というのが表…
夏の災厄 (角川文庫)作者:篠田 節子KADOKAWAAmazon 20年ほど前に読んだ本。なんとも懐かしいが、この本をこんなかたちで思い出すことになろうとは。看護婦、保健婦という呼び方、厚生省という官庁名、今は新法に生まれ変わった伝染病予防法、MMRやインフルエ…
メインテーマは殺人 ホーソーン&ホロヴィッツ・シリーズ (創元推理文庫)作者:アンソニー・ホロヴィッツ東京創元社Amazon この本には驚いた。まるでアガサ・クリスティかエラリイ・クイーンの新刊を読んでいるみたい。しかも舞台はきっちり現代になっている…
バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)作者:前野 ウルド 浩太郎光文社Amazon 書店で表紙を見たときは、ちょっとヤバい人なんじゃないかと思ったけど、読んでみたら、わりとまっとうな「バッタ研究記」でした。ふざけて見えるけど、この著者はけっこうマジメ…
ためらい (集英社文庫)作者:J・P・トゥーサン集英社Amazon 「ぼく」は、生後8ヶ月の赤ちゃんを連れて、海辺の村サスエロにやってきます。そこに住むビアッジを訪ねようとしているらしいのですが、なかなか家のベルを鳴らさず、なんだかずっとためらっている…
夜中に犬に起こった奇妙な事件 (ハヤカワepi文庫)作者:マーク・ハッドン早川書房Amazon 「ぼく」は特別支援学校に通う15歳の少年だ。数学が得意で、今度数学の上級試験を受ける。だからこの本の章番号は全部素数になっている。人の感情を読み取るのは苦手だ…
村上春樹、河合隼雄に会いにいく(新潮文庫)作者:河合 隼雄,村上 春樹新潮社Amazon 刊行は1996年。対談の時期は1995年あたりなので、阪神淡路大震災、オウム真理教の事件などが起きた頃だ。直接そのことに触れた箇所は少ないが、今読むと、全体を通して事件…
食べることと出すこと (シリーズ ケアをひらく)作者:頭木 弘樹医学書院Amazon この「シリーズ ケアをひらく」は、私の大好きなシリーズだ。その大きな理由として、どの本を読んでも、今まで当たり前だと思ってきたことが、まったく違うように見える、という…
夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)作者:こうの 史代双葉社Amazon 何度読み返しても、そのたびに発見があり、心が揺さぶられます。すばらしい一冊です。原爆が描かれた作品を一つ選ぶとしたら、どんな文学よりも映画よりも、私はこのマンガを推したいと…
氷菓 「古典部」シリーズ (角川文庫)作者:米澤 穂信KADOKAWAAmazon 全体的には、小説というよりアニメのノベライズ、といった印象。ポップな展開、わかりやすくキャラの立った登場人物、そしてシンプルだけどそこそこ意外性のある謎解き。たいへんに読みやす…
SF映画術 ジェームズ・キャメロンと6人の巨匠が語るサイエンス・フィクション創作講座作者:ジェームズ・キャメロンDU BOOKSAmazon SF好き、映画好きにはたまらん一冊だ。なにしろジェームズ・キャメロンが、スピルバーグやルーカスからノーランまで、名だた…
盲目的な恋と友情(新潮文庫)作者:辻村深月新潮社Amazon いや〜、びっくりだった。辻村深月って、こんな「怖い」小説を書く人だったのか。この人の本は数冊しか読んでいないので、あまりえらそうなことは言えないが、今まで読んだことのある作品とは、明ら…
黄色い部屋の謎【平岡敦訳】 (創元推理文庫)作者:ガストン・ルルー東京創元社Amazon 小学校高学年あたりで一度読んだきりだった。たぶんポプラ社あたりの児童向け翻案モノだと思う。とにかく怖かった記憶しかない。「黄色い部屋」というシチュエーション。羊…
ねじ式 (1) (小学館文庫)作者:つげ 義春小学館Amazon つげワールド、としか呼びようのない、独特の味わいの一冊です。「まさかこんな所にメメクラゲがいるとは思わなかった」表題作の「ねじ式」は、こんな奇妙なセリフで始まります。絵も、海岸の上に飛行機…
チャヴ 弱者を敵視する社会作者:オーウェン・ジョーンズ,Owen Jones海と月社Amazon タイトルの「チャヴ」とは、イギリスで労働者階級を指す「侮蔑語」だ。多くは公営住宅に住み、低賃金の仕事か生活保護で暮らす「急激に増加する粗野な下流階級」。これに相…
ケーキの切れない非行少年たち(新潮新書) 作者:宮口幸治 新潮社 Amazon 児童精神科医である著者は、勤めていた病院を辞め、医療少年院に赴任します。 医療少年院とは、主に発達障害や知的障害のある非行少年が収容される「少年院版特別支援学校」。 そこで…
昨日オープンした「角川武蔵野ミュージアム」に行ってきました。東所沢駅から10分程歩くと、突然あらわれる偉容に度肝を抜かれます。隈研吾デザインの建物は、巨大な岩石が空から降ってきたかのよう。敷地内にはナゾの鳥居とのぼり旗。近寄ると・・・なんじ…
侍女の物語作者:マーガレット アトウッド早川書房Amazon キリスト教原理主義者のクーデターが起きた「もうひとつのアメリカ」が舞台。ギレアデと名付けられたその国では、すべての女性が財産を没収され、仕事を奪われ、別の役割をあてがわれています。本書の…
空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む (集英社文庫) 作者:角幡 唯介 集英社 Amazon 決して本に書いてないことがあります。誰も行ったことのない場所のこと、です。チベットのツアンポー川は、まさにそういう場所でした。 幾多の探検家が…
短編画廊 絵から生まれた17の物語 (ハーパーコリンズ・フィクション) 作者:ローレンス・ブロック,スティーヴン・キング,ジェフリー・ディーヴァー,マイクル・コナリー,リー・チャイルド,ジョー・R・ランズデール,ジョイス・キャロル・オーツ,ロバート・オレ…
海底二万里 上 (角川文庫) 作者:ジュール・ヴェルヌ,渋谷 豊 発売日: 2016/07/23 メディア: Kindle版 海底二万里 下 (角川文庫) 作者:ジュール・ヴェルヌ,渋谷 豊 発売日: 2016/07/23 メディア: Kindle版 小学生の頃、児童書のダイジェスト版で読んで以来の…
私たちはふつうに老いることができない: 高齢化する障害者家族 作者:児玉 真美 発売日: 2020/05/25 メディア: Kindle版 このタイトルが「刺さる」人は、おそらく障害者の親かその関係者だろう。障害当事者にさえなかなか光が当たらない中、「障害者の親」の…