【2837冊目】町田康『供花』
先日読んだ『くっすん大黒』より先に出た、町田康の第一詩集です。
詩集、と言われて、どんな内容を連想するでしょうか。
どんなことであっても、この詩集を読めば、その想像は裏切られます。
たとえば・・・・・・
「大仏が建立され 陛下が地球の長さを測る」(「きりきり舞い」より)
「夢も希望も無い者どうしで商店街へゴー
最後の金を握りしめて爆笑しながらゴー」(「下りみち」より)
「安全太郎 便所のとびらをつかんで
犬の死体を裏返す」(「夢で流血」より)
「フィストファックを試みて
御名があがめられる
小児のからだを舐めまわし
御名があがめられる
妹が包丁で切腹して
御名があがめられる」(「俺は祈った」より)
まあ、大体の様子はおわかりのことと思いますが、つまり、かなりヤバい詩集なのです。
ここにあるのは、意味もなく、文脈もなく、救いのない、圧倒的な言葉の砲列なのです。
小説のほうが、ここに書かれているような乱舞する言葉のエネルギーを、つかんで、馴致して、つなげて、どうにかコントロールしているわけで、
ここにあるのは、まさに町田康のエッセンス、あるいは薄める前の「原液」。
そのぶん、毒性もかなり強めです。
服用にあたっては、くれぐれもご注意ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!