hachiroetoのものぐさ遊読帖

自治体職員。仕事は福祉系。読書は雑食系。

【2761冊目】王城夕紀『青の数学』


新潮文庫1002021」全冊読破キャンペーン83冊目。


数学と情緒を結びつけて語ったのは岡潔ですが、この小説では、数学と叙情が結びついています。細かい説明よりも、独特の空気感に包まれて読む小説です。


描かれているのは、数学をめぐる、高校生たちの戦いと青春ですが、雰囲気はまるでスポーツ青春ドラマのよう。それも、ガチのスポ根モノというより、少女マンガ要素が入ったさわやかスポーツ青春モノなのです。


実際、この小説は、マンガになったものを読んでみたいと思いました。叙情に流されがちな文章も、マンガであれば同時に背景を描き込むことで説明が足りる。最後のほうに出てくる実際の数学の問題も、ビジュアルを使ったほうが解法が一目瞭然になりそうです。


ちなみにこの小説は、基本的に主人公の「栢山」の視点で進んでいきますが、何箇所か、不意に他の人に視点が移ることがあり、それが少々気になりました。このあたりも、マンガであれば複数の人物の内面を同時に描写することができますので、それほど違和感がないものになったのではないでしょうか。


最後までお読みいただき、ありがとうございました!