【2718冊目】『吾輩も猫である』
「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン40冊目。
表題通り、「猫」をめぐるアンソロジーです。共通点は「猫の一人称」であることだけ。それでも漱石先生の影響力の強さか、なんとなく似通った内容になってしまうのが、不思議といえば不思議。
赤川次郎の「いつか、猫になった日」は猫視点のミステリで、「三毛猫ホームズ」作者ならではの巧さが光ります。新井素子「妾は、猫で御座います」は漱石へのオマージュでありながら、独特の語り口調がおもしろい。石田衣良「ココアとスミレ」は凡庸な風刺作品で、つまらない。萩原浩「吾輩は猫であるけれど」はなんと著者直筆の4コママンガ! しかも普通にうまくてびっくりです。
恩田陸「惻隠」は風刺モノかと思わせて、意外などんでん返しが待っています。原田マハ「飛梅」はなんと猫を菅原道真に重ねた意欲作。ちなみに猫専門ネット書店「吾輩堂」は実在します。村山由佳「猫の神さま」は、内容はフツーだが文章がいい。たぶんこの人は皮膚感覚や内臓感覚で文章が書ける人だ。山内マリコ「彼女との、最初の一年」も漱石オマージュだが、相手が芸大生というのがユニークだ。以上!
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