hachiroetoのものぐさ遊読帖

自治体職員。仕事は福祉系。読書は雑食系。

【2742冊目】一條次郎『レプリカたちの夜』


新潮文庫1002021」全冊読破キャンペーン66冊目。


とてもヘンである。そして忘れがたい。ちょっと類をみない小説だ。


夜中の工場にあらわれるシロクマ。姿を消す工場長。自分自身のレプリカ。頭がターンテーブルになっているカッパ。ぷりんぷりん音頭を踊るうちに溶けてしまう女性。次から次へと登場するシュールでミステリアスな状況。その中に、主人公どころか物語ごと巻き込まれていく。


シュールなのに文章が読みやすいので、理解しがたい状況でも、読者の頭の中にあざやかにイメージが浮かぶ。これは新時代のカフカ安部公房か、ブルガーコフデヴィッド・リンチか。いずれにせよデビュー作でこのクオリティとは、これはとんでもない才能。鬼才と呼ぶにふさわしい。個人的にはうみみずの展開するディープな人間=動物論が面白かった。


最後までお読みいただき、ありがとうございました!