「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン88冊目。
舞台は現代のはずなのに、スマホもゲームもSNSも出てこない。裕福な旧家の屋敷や召使いたち、どこか病んでいる登場人物、まるで横溝正史か江戸川乱歩の世界。
短編集である。バベルの会という読書会が共通して出てくるが、最後の作品を除けばほとんど名前のみ。そして、どの作品も女性の一人語りであって、ギョッとするラストが用意されている(「山荘秘聞」はそこを逆手にとっているが)。本書の独特の雰囲気は、その語りのうまさにある。やはりどこか江戸川乱歩を思わせる。
まあ、それだけといえば、それだけなのだけれど。
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