【2714冊目】ルーシー・モード・モンゴメリ『赤毛のアン』
「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン36冊目。
いや〜、まさかこの年になって『赤毛のアン』を読むことになるとは思いませんでした。しかも「もっと早く読んでおけばよかった」と思うとは! 名作と呼ばれる作品は、男の子向けとか女の子向けとかにこだわらず、一度は手に取ってみるものですね。
とにかく主人公アンの魅力が圧倒的です。おしゃべりで夢想家、率直で意地っ張り。でも、その素直で屈託のない人柄に、周りの人がどんどん惹かれていくのですね。今は死語かもしれませんが、アンこそは、女の子の魅力のエッセンスがきらめくばかりに詰め込まれたキャラクターなのだと思います。
周囲をかためる人々も魅力的です。無口だが心の温かいマシュウに、皮肉屋で厳しいが実はだれよりアンを想っているマリラ。無二の親友ダイアナにライバルのギルバート・・・・・・。たまに出てくる嫌な奴(フィリップス先生とか「バーリーの小母さん」とか)も、いつの間にかアンによって、その人間的な魅力が引き出され、アンを気に入ってしまうのだからたいしたものです。
それにしても、原題のAnne of green gablesを「赤毛のアン」と訳した村岡花子は素晴らしいと思います(発案者は別の人らしいですが)。エネルギッシュで個性的な赤毛こそアンそのものですし、考えてみれば、「緑の屋根」と「赤い髪」が色彩のコントラストになっているのですから。いずれにせよ、この作品に出会わせてくれた「新潮文庫の100冊」には感謝しかありません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!