hachiroetoの読書ノート

この世の片隅でこっそり書き続けています。一応自治体職員。仕事は福祉系。読書は雑食系。

【2764冊目】三浦綾子『塩狩峠』


新潮文庫1002021」全冊読破キャンペーン86冊目。


読み終えて、いろんなことを考えさせられました。特に、キリスト教というもの、信仰というものと、そろそろ正面から向き合わなければなるまい、という思いが強くなりました。


自分の命を犠牲にして列車を止めるという信夫の行動自体は、彼自身の気高さ、人間的な高み、ということで説明がつくのかもしれません。しかし、それをかたちづくったのは間違いなく、キリスト教の信仰であったことを考えるとき、そのことを抜きにして信夫の行動だけを称えるというのは、やはりある種の欺瞞ではないかと思うのです。


歴史を見れば、キリスト教ほど血塗られた宗教はありません。にもかかわらず、その信仰には人を動かすなにものかがあることもまた、否定できないように思います。たしかに、著者自身がキリスト教徒であったことから、ある程度の贔屓目はあるのかもしれませんが、それでもやはり、信仰と人間の崇高さの関係からは、目を背けてはならない。そのことを、本書からは深く感じました。


最後までお読みいただき、ありがとうございました!