【2662冊目】寺山修司・宇野亜喜良『壜の中の鳥』
「なぞなぞ たてろ
同じ鳥でも飛ばないとりはなあんだ?
それはひとり という鳥だ」
挿絵ではあるのですが、叙情と叙情が響き合って、なんともふしぎな世界を生み出しています。
書かれ/描かれているのは、人間がつぎつぎに鳥になる、という物語。
先生は生徒の目の前で鳥になります。
「先生が、鳥になっちゃった!」
エレベーターに乗り込んだ9人の女学生は、扉が開くと、9羽の鳥になって飛び去ります。
恋人が鳥になってしまった少女は、自分も鳥になれるよう神様にお祈りします。でも、鳥になってしまった男の子もまた、人間に戻れるよう神様にお祈りしているのです。
「すれちがってしまったのだ!」
ところで、奥付を見て意外なことに気づきました。
寺山修司と宇野亜喜良って、生まれた年はほとんど一緒なんですね(宇野亜喜良のほうが1年上)。
1983年に亡くなった寺山修司のほうが、今もご存命の宇野亜喜良より、なんだかずっと前の人のように感じます。
人は生まれた年ではなくて、亡くなった年でその人の時代を感じるのかもしれませんね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!