自治体職員の読書ノート

自治体職員です。仕事の関係上、福祉系が多めです。読書は全方位がモットー。

【2604冊目】ジャック・カーリイ『デス・コレクターズ』


異様な猟奇殺人の裏にちらつく、30年前の連続殺人犯の影。「彼」マーズデン・へクスキャンプは、信奉者の女性によって、裁判所で射殺されたはずなのに・・・。


異常犯罪を専門に扱う部門PSITに所属し、市長からも表彰された刑事カーソン・ライダーが主人公。かつてへクスキャンプと行動を共にした女性たちが次々と殺され、殺人者の「グッズ」を収集するデス・コレクターの存在も明らかになるなど、全編が不気味な雰囲気に包まれているが、絶え間なく挟み込まれるジョークや軽口のおかげで、そこまで暗くならずに済んでいる。


ただ、この「ジョークや軽口」を含め、この作品の雰囲気や「僕」のやや能天気なキャラクター設定が、私はあまり肌に合わなかった。翻訳の出来の問題なのか、もともとこの小説がもっている要素なのかわからないが、せりふ回しのいちいちがなんとなく引っかかる。シリアスな場面でやたらに挿入されるジョークも、かえって雰囲気を壊しているように感じた。


まあ、理由として思い当たる節もないので、単純に好みの問題なんだろう。「ミステリー」としてはかなり周到にできていると思われるだけに、ちょっと残念だった。