自治体職員の読書ノート

自治体で働くソーシャルワーカーが、読んだ本を紹介します。

【2409冊目】河合隼雄『働きざかりの心理学』

 

働きざかりの心理学 (新潮文庫)

働きざかりの心理学 (新潮文庫)

 

 

なんと単行本は昭和56年の刊行。今とは労働環境も社会情勢もだいぶ違うが、それでも読んでいて共鳴できる部分が多いのは、やはり私自身がそれなりの年齢になったからか。

一般に「働きざかり」と言われるのは、40代から50代くらい、いわゆる中年と呼ばれる年齢層だと思う。著者によれば中年期とは、人生の折り返し点。それゆえに迎える危機はいろいろあるが、青年期や老年期に比べ、その重要性はあまり指摘されてこなかった。

中年の危機は仕事だけではない。それは夫婦の危機、親子の危機、社会の危機にもつながっていく。本書ではこの時期を「思秋期」と呼ぶが、この頃になると、そろそろ人生のターニングポイントを迎え、「死」という厄介なものに向き合わざるを得なくなる。しかもこの年代の親の子は、これまた「性」という厄介なものに向き合うことになる「思春期」真っただ中だったりするわけだ(もっとも最近は晩婚化の影響か、むしろ親の初老期が子の思春期と重なったりするようになっているが)。

大人としての対応を求められ、職場では平社員から管理職に移行し、家庭ではむずかしい年齢層の子どもと向き合わなければならない。孔子は「四十にして惑わず」と言ったが、実際は惑いっぱなしというのが正直なところだ。そんな「中年期」「思秋期」に、マニュアルは存在しない。それぞれが自分なりの中年期に向き合い、時に傷つき、悩むことが必要だと説く。人生の後半戦をいかに迎えるべきか。本書はそのことを考えるための、重大なヒントに満ちている。