hachiroetoの読書ノート

この世の片隅でこっそり書き続けています。一応自治体職員。仕事は福祉系。読書は雑食系。

【2752冊目】コナン・ドイル『シャーロック・ホームズの冒険』


新潮文庫1002021」全冊読破キャンペーン74冊目。


言わずとしれたシャーロック・ホームズの第一短篇集。「ボヘミアの醜聞」「赤髪組合」「花婿失踪事件」「ボスコム谷の惨劇」「オレンジの種五つ」「唇の捩れた男」「青いガーネット」「まだらの紐」「花嫁失踪事件」「椈屋敷」が収められている。


小学校の図書室にあった江戸川乱歩の「少年探偵団」シリーズから入り、シャーロック・ホームズにハマり、そこからクリスティ、クイーンに進むという王道ルートでミステリを読み始めた人間としては、本書のラインナップはなんとも懐かしい。同時に、当時は気づかなかったいろんな魅力を発見できたのもよかった。大人になってから読み直すホームズもまた、格別だ。


まず驚いたのは、人が死ぬ話が少ないこと(「ボスコム谷の惨劇」「オレンジの種五つ」、過去の事件も入れれば「まだらの紐」のみ)。中にはそもそも犯罪にさえならないケースも多い。また、事件発生を未然に防いでいるケースもあり(「赤髪組合」「まだらの紐」)、これは探偵としては最高の結果、最高の力量といえるだろう。目の前で何人も殺されてからやっとこさ「犯人当て」をやるなど、ミステリとしては面白いが、探偵としてはどうなのか。


そしてなんと言っても粋なのは、記念すべき短編第一話「ボヘミアの醜聞」が、ホームズの失敗談であることだ。しかも、当時の男尊女卑的な、女性は守られるべきもの、と思われていた時代にあって、ホームズの上手を行ったのはアイリーン・アドラーなる女性なのである。ちなみに本書には他にも、「まだらの紐」のヘレン・ストーナーや「椈屋敷」のヴァイオレット・ハンターなど、意思明晰で行動的な女性が多く登場する。ドイルの女性観が当時としてはかなり先進的だったことが窺える。


最後までお読みいただき、ありがとうございました!