hachiroetoのものぐさ遊読帖

自治体職員。仕事は福祉系。読書は雑食系。

【2613冊目】『蕗谷虹児』


この人をご存知でしょうか。蕗谷虹児と書いて、フキヤコージと読みます。大正から昭和にかけて人気を博した画家であり、詩人です。


少女のはかない美しさから、大人の女性の妖艶な美まで、とにかく女性を描かせたら圧倒的。ちなみに童謡「花嫁人形」の作者でもあります。「金襴緞子の帯しめながら 花嫁御寮はなぜ泣くのだろ」・・・知ってますか?


この人の作品が素晴らしいのは、単なる美しさだけではなく、そこに憂いやはかなさ、陰影のようなものがしっかりと描かれていることだと思います。そこにあるのは、思うがままに生きられなかった当時の女性たちへの思いなのかもしれません。そうでなければ「花嫁」を歌うのに、あんなに哀しくせつない歌詞をつけるでしょうか。


後年は「アラビアンナイト」の挿画や「おやゆび姫」などの絵本にも携わりました。でも、やはり絶品なのは大正ロマンティシズムの精華ともいうべき女性の絵の数々だと重います。こんな女性が実際にいるのだろうかと思いつつ、いや、どこかにはいるはずだとも感じられるような作品です。