自治体職員の読書ノート

自治体で働くソーシャルワーカーが、読んだ本を紹介します。

【本以外】映画『TENET』を観てきました

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観終わった直後の感想は、次の2つ。

「????????????」

「!!!!!!!!!!!!」

 

時間が流れる川のようなものだと考えれば、タイムマシンが出てくるような「時間遡行モノ」は、いわば川の下流から上流まで移動するようなもの。移動した後は、また上流から下流に沿って流れ続ける。『ドラえもん』も『時をかける少女』もそうだった。

 

ところがこの映画は、川の流れそのものを逆にする。ビデオの巻き戻しのように、未来は現在、そして過去へ。飛び出した弾丸はピストルに戻り、鳥は後ろに飛び、崩れた建物は戻る。

 

ややこしいのは、全員が「戻って」いるわけではないことだ。周囲の時間が遡行する中、主人公たちの時間だけは前に進む(周囲からすれば、主人公たちだけが逆行している)。いわば川の流れが2方向、同時にあらわれるのだ。

 

世の中のほとんどの映画もまた、過去から現在、そして将来に向かって進む。例外は本作の監督クリストファー・ノーランが撮った『メメント』で、これは時間をどんどん戻っていくという究極の巻き戻し映画だったが、本作はさらに「わかりにくい」。というか、この映画を一回で理解できる人はいるのだろうか?

 

理解できない、というより、脳がこの映画を受け付けない。おそらく、時間を逆行するという発想そのものが、人間の脳のしくみに逆らうようなものなのだろう。だが、それが苦痛かといえばとんでもない。むしろ脳の臨界点を超えた展開と映像が次々に目の前で展開されるのが快感だ。そして、内容については今後長きにわたって、映画ファンや評論家の間で解読と議論が続いていくだろう(例えばキューブリックの『2001年宇宙の旅』のように!)。わかりやすさばかりが幅を利かせる最近の映画に強烈なクサビを打ち込んだ作品。ぜひご覧いただき、一緒に首をひねりましょう。