自治体職員の読書ノート

自治体で働くソーシャルワーカーが、読んだ本を紹介します。

【2431冊目】デイヴィッド・ベニオフ『25時』

 

25時 (新潮文庫)

25時 (新潮文庫)

 

 

 

 『卵をめぐる祖父の戦争』などで有名なベニオフ第1作。もっとも今や、ベニオフといえば超名作ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』の共同制作者、と言った方が通りが良いかもしれない。

刑務所に収監されることが決まっている男の、収監前の1日を描く。主人公のモンティはタフで魅力的な元麻薬密売人。友人の高校教師ジェイコブとトレーダーのフランクとの関係を軸に、父親、恋人、元ボスらとの関係を、カメラを切り替えるように次々と描きつつ、切なくも意外きわまりないラストに向けて物語が流れていく。

文章にもかかわらず情景のカメラワークが見事。会話もほとんどがジョークとウィットのすさまじい応酬で、これがまたなんとも魅力的。友情物語と言われることが多い作品ではあるが、それだけに収まらない、人の生き様のようなものがえぐるように描かれながらも、そこから思いもかけない情景が見えてくる逸品だ。

 

 

卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ文庫NV)

卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ文庫NV)