自治体職員の読書ノート

自治体で働くソーシャルワーカーが、読んだ本を紹介します。

【2349冊目】東浩紀『動物化するポストモダン』

 

動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)

動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)

 

 

インスタグラムからの転載。

ポストモダン的観点からオタク文化を読み解いた一冊であり、同時にオタク文化の分析を通じてポストモダンの本質を明らかにした一冊。キーワードは「シミュラークル」と「データベース」。

シミュラークルとは、オリジナルともコピーともいえない中間形態のこと。ボードリヤールが用いた言葉であるが、著者はこれをオタク文化の本質的特徴のひとつとして取り上げる。「オリジナルがあってコピーがある」というのがふつうの発想だろうが、オタク文化では「原作もパロディも等価で消費」されるのだ。

「データベース」もまた、オタク文化の大きな特徴である。オタク文化においては、大きな物語があって、その上にキャラクターが展開するという近代物語構造は通用しない。むしろキャラクターや設定という「データベース」が先行し、個々のストーリーはそこから派生するものにすぎないと考える。そして、この「大きな物語の喪失」こそが、ポストモダン思想自体の重要なキーワードなのである。

とはいえ、オタク文化なんて自分には関係ない、と考える人も多いだろう。私自身もその一人だったのだが、本書を読んで考えを改めた。問題は、オタク文化を生んだ現代社会のポストモダン的状況そのものなのであり、われわれもまた、同じ社会状況の中を生きているのだ。そして、こうした状況下の人々に生じるのが「動物化」であると著者は言う。

著者がコジェーヴを引きつつ「動物化」に対置するのが「スノビズム」だ。実は、80年代のオタクを規定していたのは「スノビズム」すなわち「他者の欲望を欲望する」人々であった。しかし90年代にあっては、もはや人々は他者を喪失し、「自分の好む萌え要素を、自分の好む物語で演出してくれる作品を単純に求めている」にすぎない。これが著者の言う「動物化するポストモダン」としての現代なのである。う~む。そ、そうなのか・・・・・・。