自治体職員の読書ノート

自治体で働くソーシャルワーカーが、読んだ本を紹介します。

【2350冊目】岡本全勝『管理職のオキテ』

 

明るい公務員講座 管理職のオキテ

明るい公務員講座 管理職のオキテ

 

 

「明るい公務員講座」シリーズのうちの一冊で、自治体への派遣経験もある著者による「管理職道」。職員の育成や指導にウェイトが置かれているのが特徴か。

「モノは叩いても壊れないが、人は壊れる」という指摘が印象的。人を扱うことの難しさをよく知っているからこそ書ける内容だろう。「職員指導は、障子紙を手のひらで押す感じでやりましょう」(p.111)。紙の厚さや破けやすさも、相手によって違う。分厚く見えて、実はすぐに破けてしまう人もいる。「指導」には、細心の注意が必要なのだ。

パワハラなどはもってのほか、相手に合わせた指示の出し方やフォローを欠かさず、いつでも部下が相談に来られるよう常にニコニコ明るく振る舞う。ちなみに問題職員への対応についても書かれているが、う~ん、この人はホントの問題職員には遭遇していないんじゃないか。「それ」ができないから彼らは「問題職員」なんだよね、と言いたい。

そろそろ「管理職」を考える年齢、年次になってきたので、ものは試しと読んでみたのだが、なるほど、これって「ケースワーク」なのだな、というのが読み終えた印象だ。人間が相手であること、自立を促し、支援すること、結論を押しつけるのではなく傾聴し、相手の気持ちを聞き取ること。

もちろん組織はこれだけではなく、一定の成果を挙げなければならない。だが、十分な成果を挙げるには、職員のレベルアップが不可欠だ。自治体の実情に即して、わかりやすく「一般職員と管理職の違い」を示した一冊。

ただ、「表向き」の管理職論にとどまっている印象は受ける。欲を言えば、議員に無理な要求をされた時や団体の圧力にさらされた時など、管理職特有と思われる「悩み」についても触れてほしかった。