【2660冊目】高野文子『るきさん』
「るきさん」はたぶん30代くらいの、一人暮らしの女性です。仕事は在宅ワークの医療事務で、1ヶ月分の仕事が1週間で終わってしまうので、あとは図書館に行ったり、郵便局に行ったり(切手集めが趣味らしい)、ゆっくりご飯を食べたりお風呂に入ったりしています。ああ、うらやましい生活!
友達もいます。えっちゃんという、やはり独身のパワフルな女性です。のんびりしていてちょっとずれているるきさんとは全然タイプが違いますが、それゆえに良いコンビ。るきさんには色恋沙汰が全然なさそうなのに、えっちゃんは小川くんという職場の新人職員が気になっています。
こんな感じで、特に悩みも不安もなくふわふわと過ぎていく日常が描かれたマンガです。読んでいると、だんだんるきさんに感化されて、細かいこととか世の中のしきたりとかが、だんだんどうでもよくなってきます。
刊行時期は後になりますが、益田ミリさんの『すーちゃん』とちょっと雰囲気が似ているかも。ただ、「すーちゃん」がけっこういろんなこと(結婚のこととか、将来のこととか)を気にしていて、案外悩みが多いのに対して、るきさんはそのあたりをすっかり突き抜けています。なにしろ本書のラスト、るきさんは突然思い立って、仕事をやめてナポリに移住してしまうのです(たぶん)。
ところで「るき」って、本名なのでしょうか。どんな漢字をあてるんでしょうね。そのあたりがよくわからないのも、いかにも「るきさん」らしいのです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!