【2395冊目】竹内薫・竹内さなみ『シュレディンガーの哲学する猫』
「シュレディンガーの猫」と言えば量子論を説明する際に使われる「生きていて、同時に死んでいる」奇妙な猫のことであるが、本書自体は別に量子論の解説本じゃなくて、「シュレ猫」を狂言回しに、古今の哲学を紹介する一冊なのである。ああ、まぎらわしい。
とはいえ著者の一人がサイエンスライターの竹内薫であるから、ニーチェやサルトル、フッサールやハイデガーに加え、科学哲学のファイヤアーベントや環境思想のレイチェル・カーソンなどが入っている。廣松渉や大森荘蔵が入っているのも類書に例がない(それにしても廣松哲学は難しい・・・)。でも一番びっくりしたのは、サン=テグジュペリが入っていたことだ。
竹内薫氏が解説文、妹の竹内さなみがシュレ猫とのやり取りの部分を担当しているようだが、残念なのは両者があまり連動していないこと。解説文は正直かなり難しいと感じたが、それでも廣松やハイデガーを直接読んだ時の途方に暮れるようなわかりにくさに比べると、圧倒的に理解しやすいものだと思う。内容について触れだすとキリがなさそうなので、今日はこのへんで。手に取る機会があれば、気になる哲学者のくだりから読み始めていただければと思う。