自治体職員の読書ノート

自治体で働くソーシャルワーカーが、読んだ本を紹介します。

【261冊目】青山やすし編著「行政マンの体験的情報術」

行政マンの体験的情報術―こんな成功、あんな失敗

行政マンの体験的情報術―こんな成功、あんな失敗

東京都副知事と二人の東京都職員による、「情報」に焦点をあてた仕事術。

タイトルは「行政マン」となっているが、内容的には係長以上、主に管理職がメインターゲットと思われる。その分、情報術といってもかなり高度で応用的と思われるものが多い。とはいえ、ものの考え方や発想法、あるいは管理職としての心構えを学ぶという意味では、私ごときヒラ職員でも十分役に立つ。構造は、情報のフローに対応して各章がそれぞれ情報の「収集」「分析」「保管」「アウトプット」をテーマとしており、章の全般で説明、後半は具体的なケースを提示している。本書はこのケースがなかなか面白い。著者自身の体験を披瀝しているものもあるし、架空の事例もかなり自治体現場の状況を踏まえたリアルなものとなっている。自治体職員として本当に悩ましいケースも多く、胸につまされる思いで読んでしまった。

著者はまず冒頭で、情報を「インフォメーション」と「インテリジェンス」に分けている。前者はいわゆる一般的な意味での「情報」で、主に確定した事実をいう。それに対して後者は不確定情報をいう。前者はインターネットが普及した現代社会では容易に入手できるが、後者を扱うには知性と感性が求められるという。そして、現代の行政では、特に意思決定者である管理職は、不確定情報を元に判断を行わなければならない場面が多く、インテリジェンスとしての情報術を使いこなすことが求められているのである。不確定情報が確定情報になるのを待っていては間に合わないのだ。本書で取り扱われている「情報術」は、(書類の整理など「インフォメーション」レベルのものもあるが)主としてこのインテリジェンス・レベルのものなのである。