自治体職員の読書ノート

自治体で働くソーシャルワーカーが、読んだ本を紹介します。

【2335~2337冊目】『シリーズ貧困を考える1 世界の貧困・日本の貧困』『シリーズ貧困を考える2 昔の貧困・今の貧困』『シリーズ貧困を考える3 子どもの貧困・大人の貧困』

 

 

 

 

 

 

たいへん力の入った本である。子どもに対して「貧困」を真正面から語るというのはなかなか覚悟のいることだと思うのだが、本書はそこをしっかり正面突破した。限られた紙幅であり、子ども向けなので難しい言葉も使えないが、本書はむしろそれを利点として、大人が読んでも発見のある充実したクオリティに仕上げている。

世界の貧困と日本の貧困が、つねに対比的に取り上られている。並べてみるとどうしても「日本の貧困」なんてたいしたことのないように見えてしまうのだが、本書は冒頭で「絶対的貧困相対的貧困」について説明し、日本の貧困問題が外からは見えづらいこと、そこには生活保護という制度が寄与していること、そうであっても貧困の問題は日本でも深刻であることを、順を追って丁寧に説明しているのに加え、各パートの文章でもしっかりフォローされている。むしろ読む側は、日本の貧困が海外の貧困と相似形であることに気づかされるのだ。

教育格差が生む貧困の連鎖の問題、貧困がいじめや不登校につながることが多いことも書かれているが、ここは子どもたちにとって身近でありながら、実はもっとも触れるのが難しいポイントだろう。やはりここでも、本書の「逃げない」姿勢は際立っている。

コメントが欲しかったのが、ひとり親世帯の貧困率を比較した表(シリーズ3 6ページ)。OECD加盟国の中で、日本だけがなぜか「仕事のあるひとり親のほうが、仕事のないひとり親より貧困率が高い」のだ(仕事ありが56.0%、仕事なしが47.4%)。他にこんな国はないし、これはきわめて異常なことである。その理由はおそらく、ひとり親の多くが非正規雇用労働者であって賃金が低いこと、にもかかわらず生活保護などの制度を使っていない(使えないか、使えることを知らない)ことなのではないかと思うのだが。

とはいえ、気になったのはこの点くらい。他の点はたいへん充実していて、文句のつけようがない。貧困問題の入門書として、大人にも読んでほしいシリーズだ。