【1242冊目】橋本博之『行政判例ノート』
- 作者: 橋本博之
- 出版社/メーカー: 弘文堂
- 発売日: 2011/01/30
- メディア: 単行本
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見た目はややポップな感じだが、中身はわりと本気の参考書。類書がいろいろある中では、比較的新しい判例までカバーされている点で一歩リード、というところか。まあ、これは出版のタイミングにもよるので、今後マメに改訂がなされるかどうかが今後の課題。
事実→判旨→POINTという三段構成になっている。POINTでは、著者独自の主張を押し出すというより、客観的でコンパクトな解説で、要点が整理されている。参考書も明示されているので学習用にはよろしいかと。テーマごとに並べられている関係で、同じ判例が別々の場所で出てきたりもするのだが、そのへんのクロスリファレンスもきちんとしている。
実務の観点から言うと、インデックスがしっかりしているので、関連するテーマの重要判例をチェックするのに便利かと。もっとも、本来の目的は勉強用(特に新司法試験)。櫻井・橋本行政法のメインテキストを補うサブテキストとしての使い勝手がよさそうだ。ちなみにインデックスも、同『行政法』に揃えてあるらしい。
全体的には、コンパクトな分量のなかに、メリハリを効かせてうまく重要判例を収めた参考書という印象。特段の主張があるわけではないので、行政法の勉強をされる際は本屋で中身をパラパラと見て、レイアウトや構成がなじむと感じられれば使ってみてもよろしいのではないか。もちろん「櫻井・橋本行政法」を基本書にしている方は、応用編として傍に置いておくことを勧める。
まあ、感想というほどの感想が出てくる類の本ではないので、こんなところで。一言だけ書くと、今回は本書を通読したのだが、判例だけを延々と読み続けるのはけっこう苦行だった。やはり判例集というのは「使う本」「調べる本」である。ふう、疲れた。