【465冊目】鈴木浩「日本版コンパクトシティ」
- 作者: 鈴木浩
- 出版社/メーカー: 学陽書房
- 発売日: 2007/02
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 15回
- この商品を含むブログ (8件) を見る
コンパクトシティ、というタームを、最近ときどき目にするようになった。
意味は読んで字のごとくであり、郊外に拡散した都市形態とロードサイドへの大型ショッピングセンター出店、これによる中心市街地の荒廃というおきまりの筋書きへの対策として提示された都市のあり方であるという点も、いまさら書くまでもないだろう。
ただ、その内実を考えるといろいろ難しい問題が出てくる。都市機能の集約、公共交通機関の整備と車の中心市街地からの締め出し、さらには集約された都市と周辺農村部のつながりなど、課題は山積している。特に、現実に郊外に拡散してしまった市街地をどうするかという問題、さらには中心市街地における土地所有者をどうするか、という問題が難しい。
本書はそういったコンパクトシティの理念と現実を紹介し、「日本版コンパクトシティ」の像を提示しようとするものであるが、いかんせん文章が読みづらい。文章のことになると私は他人様のことをどうこう言える書き手ではないのだが、それでもこれからこの本を読むかたもいるかもしれないので、一応指摘しておきたい。ただ、図表が理解を助けてくれるところはあるし、「地域居住政策」という考え方は参考になる。コンパクトシティが単なるまちづくりのサイズの問題ではなく、農村と市街地の問題、高層マンションとコミュニティの問題、商店街と大型ショッピングセンターの問題など、さまざまな課題が複雑に絡み合う地域政策におけるひとつの「あるべき姿」、地域のあり方そのものであることは忘れてはならないのだろうと思う。