【1冊目】西尾勝「行政学」
- 作者: 西尾勝
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 2001/04
- メディア: 単行本
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読んだのはずっと前ですが、どうしても最初に挙げておきたいと思った。 斯界の第一人者による、行政学の、ほとんど唯一といってよい基本書。行政法学が法学の一分野であるのに対して、行政学は社会学、組織工学などの社会科学系に属する別異の学問であり、一般にあまりなじみがなく、とらえどころのない分野と思われる。
この本は、その行政学をわかりやすく概観しつつ、必要なところはきっちりと問題点を掘り下げている。入門用としてはうってつけであり、仕事として行政にかかわる身としても、非常に勉強になる。読んでいて、目からウロコが落ちた箇所がいくつもあった。
不満があるとすれば、特に組織論や意思決定過程論について、国の諸官庁のものを中心に取り上げ、地方行政についての記述が少ない点か。著者の西尾教授は、地方分権推進委員会でも活躍されるなど、地方制度改革の分野でも第一人者。やはり行政学の基本書という枠組みの中で地方行政論についても触れていただきたかった。
とはいえ、これが行政に携わるものにとってのバイブルであり、文字通り基本書であることには変わりない。巻末に、引用文献ではなく、学習用の参考文献が分野ごとに整理されているのも学習用の配慮とみられ、非常に助かる。必読の基本書。