自治体職員の読書ノート

自治体で働くソーシャルワーカーが、読んだ本を紹介します。

【514冊目】関野満夫「地方財政論」

地方財政論

地方財政論

地方財政の歴史から地域経済、地方経費の問題、地方税地方交付税、国庫補助金、地方債と、地方財政に関するトピックを総合的に取り上げた一冊。

戦前から戦後にかけての地方自治地方財政の歴史や、経済学・財政学の視点から地域経済や地方経費を論じている部分が、類書ではなかなか触れられていないテーマであることもあり、特に参考になった。特に「地方経費」については、言葉自体あまり聞いたことがなかったのだが、公共財などに関連する公共経済学の視点と地方財政学の視点がいわば交錯する分野であり、地方財政を公共経済学の視点から分析する前半が興味深い(別の本で似たような議論を見たような気もするが……)。

後半は、特に国と地方の財政関係について論じており、現在の国庫補助金地方交付税制度への問題意識を再確認するものであった。もちろん地方間の財政上の不均衡をならすという意味で交付税自体は必要だが、その算定方法がいたずらに複雑化し、さらに政策誘導機能を巧妙に織り込んでいる現在の地方交付税のあり方が望ましいとは、地方自治体関係者であればおそらく誰も思っていないだろう。思うに、こういう制度が地方の意向を無視してまかり通っている現状そのものが、いまだに日本が中央集権国家であることの証左であるように思われる。