自治体職員の読書ノート

自治体職員です。仕事の関係上、福祉系が多めです。読書は全方位がモットー。

【2616冊目】伊坂幸太郎『陽気なギャングが地球を回す』


早いものでもう大晦日ですね。

例年にない「静かな年末年始」とのことですが、どっちにしても本を読んでいるだけなので、たいして変化はありません。


とはいえ、この「本スタグラム」をはじめて最初の年末年始になりますので、プチ企画として「年末から年明けにかけて伊坂幸太郎の『陽気なギャングシリーズ」を読む!」というのをひっそり開催します。


まあ、せっかくの年末年始にあまり難しい本や重い本を読みたくない、ということでもあるのですけど、ね。


さて、第一作『陽気なギャングは地球を回す』です。


「人間嘘発見器」「スリの達人」「完璧な体内時計」と、それぞれに異能をもった3人ですが、そこに響野という、ひたすらしゃべり倒すだけのキャラが入っているのが面白い。


小説全体の構造は、とても精緻かつ周到に組み上げられています。まるでエッシャーのトリックアートみたい。


でも、4人の個性とテンポ良い会話で、まったくそういうことを感じさせない。


そのあたりの巧さはさすがです。


ちなみに私、この「第一作」だけは以前に一度読んだことがあるのですが、


あらためて読むと、すべてのシーン、すべての会話が実によく練られているのに驚きます。


ヒントはあからさまにそこに示されているのに、読んでいると気づかない。


伊坂マジックの真骨頂ですね。


次作からは今回が初読なので、ぜひ正月早々、あざやかに騙されたいと思います。