自治体職員の読書ノート

自治体で働くソーシャルワーカーが、読んだ本を紹介します。

【2462冊目】安丸良夫『神々の明治維新』

 

神々の明治維新―神仏分離と廃仏毀釈 (岩波新書 黄版 103)

神々の明治維新―神仏分離と廃仏毀釈 (岩波新書 黄版 103)

 

 

 

幕末から明治初期にかけて日本中を吹き荒れた「廃仏毀釈」とはなんだったのか。いや、そもそも、それまで習合していた神仏を人為的に分離し、国家神道という人口宗教を作り出した神仏分離とはなんだったのか。廃仏毀釈が起きた期間は短く、地方によって温度差もかなりあった。だが、その短い期間で、ひょっとすると日本人の宗教観は根底から変わってしまったのかもしれない。

そもそも、この時期に行われたのは単なる仏教攻撃ではなかった。それは国家神道として囲い込まれたごく一部の「神」を除く、すべての信仰の排撃であった。修験道や伝統的な民俗宗教のすべてが対象になったのだ。「五節句」の廃止と新祝日の制定などもその一部だ。

国家神道が日本の伝統などと思っている人がいたら、おめでたい。むしろ国家神道を作るための神仏分離こそが、それまでの神仏習合に基づく日本の伝統と宗教をぶち壊したのだ。もっともその破壊を主導したのは、国家ではなく、その意を「忖度」した地方政府であり、民衆であった。

行われた徹底的な破壊は、量においては遠く及ばないが、その質においては、フランス革命文化大革命に近いかもしれない。さらに、その影響が今に至るまで続き、日本人のほとんどが日本の神々の「本来」を辿れなくなっていることを考えると、政策としてはこれは大成功だったのだ。日本人にとって、それが「良い事」であったかどうかは別として。