自治体職員の読書ノート

自治体で働くソーシャルワーカーが、読んだ本を紹介します。

【2333冊目】ドン・ウィンズロウ『フランキー・マシーンの冬』

 

フランキー・マシーンの冬 上 (角川文庫)

フランキー・マシーンの冬 上 (角川文庫)

 

 

 

フランキー・マシーンの冬 下 (角川文庫)

フランキー・マシーンの冬 下 (角川文庫)

 

 

かつての伝説の殺し屋も、今は地元の皆に好かれる釣り餌店の店主。しかし、年老いたフランキーを始末しようとした奴がいる。一体それは誰なのか。フランキーは自分を追ってくる連中を罠に嵌めつつ、波乱万丈の過去をひとつひとつ点検していく……。

ドン・ウィンズロウは初読。『犬の力』も気になるが、初老の元殺し屋が主人公という設定に惹かれてコチラを先に手に取った。期待にたがわず面白かった。元殺し屋フランキーの、老いたりといえパワフルで狡猾、しかもウィットに富んだキャラクターが魅力的。フランキーの過去を彩るマフィアの面々も強烈で忘れがたい。そして、一見冗長に思える過去のエピソードが現在と鮮やかにつながった瞬間、それまでの多くのエピソードが重層的に、立体的に立ち上がってくる。

「生活の質」を大事にするフランキーの生きざまは、まるで元殺し屋とは思えないが、それだけになぜフランキーが生き残ってきたのか分かる気がする。毎日のルーティンは、そこから「外れた」存在を大きく浮かび上がらせる。大きな望みをもたない暮らしは、欲にかられた無謀な挑戦から人を遠ざける。それこそがフランキーの強みなのである。