【717冊目】フレッド・A・ウルフ『もう一つの宇宙』
もう一つの宇宙―量子力学と相対論から出てきた並行宇宙の考え方 (ブルーバックス)
- 作者: フレッド・A.ウルフ,Fred Alan Wolf,遠山峻征,大西央士
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1995/12
- メディア: 新書
- 購入: 3人 クリック: 9回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
なかなか示唆的な本。しかし、内容を概説するだけではいまひとつ伝わりにくい。
そこで、各章ごとにワンフレーズを取り出し、並べてみた。
なんとなく、雰囲気は伝わるだろうか?
第1部「並行宇宙とはなにか?」
1 そこには、古い物理学では予想もつかなかったかたちで、わたしたちの精神が組みこまれている(第1章)
2 波は複数の可能性や見込みではなく、複数の現実―必要なら無限個の現実―を表している(第2章)
3 原子以下の大きさの粒子については、その位置と、エネルギーまたは運動量の、両方を同時に知ることはできない(第3章)
4 量子の世界では、観測者が宇宙を攪乱する(第4章)
5 (並行宇宙のモデルでは)現在の視点から出発して、現在とのあいだに首尾一貫性と論理的整合性をもつ一つの過去を再構築することができる(第5章)
第2部「宇宙は一つではないのか?」
6 この一つの現実をあらしめるためには、宇宙の可能性が無限になければならない(第6章)
7 無限個の宇宙の出現は、意識をもつ存在が確実にこの宇宙という舞台へ足を踏み出せるように、そして、その創造の力がおよぶかぎりの高みをめざせるように、自然が十分な数の選択肢を確保しようとする手段にほかならない(第7章)
8 いかなる宇宙の存在もそれと並行する姉妹宇宙の存在に依存している(第8章)
9 いったん選択がおこなわれると、選択者はその選択にとらわれてしまう。選択者は選択した宇宙にはいり込み、それと一つにならなければならない(第9章)
10 時間と空間がいっしょになってねじれ、ツイストの創始者であるチャビー・チェッカーもうらやむようなダンスを踊っていることをわたしたちに教えてくれたのはアインシュタインだった(第10章)
第3部「内と外―時間は曲がり、空間はゆがむ」
11 わたしたちの現在の時間感覚というものは、われわれを一つの宇宙からはずれさせないための道標のようなものにすぎないのかもしれない(第11章)
12 何一つとして動くものはなく、また、何一つとして静止しているものはない。これが時空という逆説の宇宙である(第12章)
13 わたしたちはみんな、この惑星がタイム・マシーンであることに気づくことなくその上を歩きまわっている(第13章)
14 自分が「静止」していると感じるのは、まわりにあるほとんどすべてのものが自分と歩調をあわせて時間のなかを動いているからである(第14章)
15 ブラックホールという穴は単なる穴ではなかった―この宇宙のほかにあるかもしれない別の宇宙へつながるトンネルだったのである(第15章)
16 いったん事象の地平線を越えると、時間と空間が逆転する。空間が不可逆の「流れ」になり、時間が「空間的」になってそのなかを自由に行き来できるようになる(第16章)
第4部「はじめに・・・・・・ありき」
17 一つのものを観測するということは、その観測対象を創造するということなのである(第17章)
18 ビッグ・バンについても(略)もし起きたとすれば無数に起き、それらがほぼ同時に泡のように発生したはずである(第18章)
19 ホーキングはややあいまいないいかたで、宇宙と宇宙のあいっでもれるのはエネルギーだけではなく、情報ももれるのではないかと指摘している(第19章)
20 並行宇宙は、物質を創造するのに必要なあらゆる可能性を生みだすためになくてはならない情報を含んでいる(第20章)
第5部「並行宇宙が示す新しい時間の概念」
21 未来の知識が過去において現実となり、過去の要素が一つでも変化するようなことがあれば、そこからさまざまなことが派生し、現在の現実を一変させてしまうかもしれない(第21章)
22 時間をさかのぼることによって現在の存在を消滅させてしまうパラドックスは、それを引き起こしたものが未来において存在しないような並行世界を認めることで解決される(第22章)
23 過去、現在、未来はとなり合わせに存在する(第23章)
24 現在の原因が過去の結果を決定している(第24章)
25 「なぜ並行宇宙が存在しなければならないかもよくわかったのです。自己無矛盾性のためにそうでなくてはならないんですね」(第25章)
第6章「並行宇宙における時間と精神」
26 ある特定の未来に波長を合わせることによって、そこに至るある特定のルートが選択され、またそれによってある特定の並行宇宙が選択される(第26章)
27 過去を思い出せるためには、未来をも思い出せなければならない(第27章)
28 複数の写真を見ることで、複数の並行宇宙にすむ自分を知る(第28章)
29 わたしたちが見たり、聞いたり、においを嗅いだり、感じたり、そして味わったりするものは、それらがどう感じられるかについて相互の同意があるからこそ、感覚といえるのかもしれない(第29章)
30 十分多くの精神が合意すれば、わたしたちは過去を創りだすことができる(第30章)
31 いかなる一つの宇宙も、それを分解する試みつまり観測がなされない限り、潜在的つまり未観測の無限個の並行宇宙から事実上成り立っている(第31章)
32 過去と未来のいずれか一方でも取り去ったら、わたしたちの人生は意味のないものになる(第32章)
33 人間の精神は新しい物理学の実験室である(第33章)