自治体職員の読書ノート

自治体で働くソーシャルワーカーが、読んだ本を紹介します。

【307冊目】宇賀克也「地方自治法概説」

地方自治法概説 第2版

地方自治法概説 第2版

地方自治法という法律、機関委任事務の廃止や三位一体改革などの大きな動きとともに語られることが多いが、もともとはあまりダイナミックな内容をもつものではなく、むしろ静的で平板な面が強いような印象がある。

民法行政法などと違って、争訟という局面をあまり想定していない(要件効果の面であまりシビアでない)法律だということもあるのかもしれない。しかも条文の分量はやたらに多い。そのため、どうしても単調でのっぺりした印象がぬぐえないところがある。本書はそこを、テキストとしての要点ははずさないまま、判例や制度の活用状況など、現実との接点を常に意識しながら書いている。そのため、法律の解説を通じて「生きた地方自治法」の現状をうかがうことができるというメリットがある。

また、地方制度改革の流れを常にリンクさせているのも、別の意味で「生きた地方自治法」を感じられて良い。制度とか法律というと固定したものとイメージしがちであるが、実際はむしろ時代の変化やさまざまな利害関係のせめぎあいの中で、ダイナミックに動き、変容していることがよく分かる。地方自治法に限らず、法律のテキストの多くはどうしても法律の構成に沿って内容を解説していくため似たようなつくりになりやすい(本書もその点では例外ではない)のだが、その中でなるべく生きた法律の姿を描こうとしている。

それにしても、宇賀先生のテキストは本書に限らずどれもコンパクトながら内容が充実している。有斐閣は、行政法情報公開法なども同じような装丁で揃えているが、もはや個人的には、信頼の「宇賀ブランド」という感じ。