【521冊目】松本英昭「地方自治法の概要」
- 作者: 松本英昭
- 出版社/メーカー: 学陽書房
- 発売日: 2008/04
- メディア: 単行本
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ずいぶん前に「改訂版」じゃないほうのを読んでいたが、いつの間にか第一次、第二次と改訂されていたので、改めて通読してみた。
良くも悪くも、地方自治法のスタンダードテキストである。膨大な条文、改正に次ぐ改正を丁寧にフォローし、個々の事項を広範に網羅しており、「逐条」ほどではないが辞書的な使い方もできる。反面、メリハリがあまりなく平板な印象も強い。まあ、このあたりはどちらをとるかという程度の問題であって、ダイナミックな視点でざっくりと地方自治法を切り取る本もあってよいが、本書のように、視点は無難でニュートラルであっても、個々の事項を、条文や改正史に即して丁寧に記述するテキストもまた必要である。
地方自治法そのものについて今更何を思うわけでもないが、これほどまでに詳細な内容を国法で決めていること自体が地方自治・地方分権に反しているのではないか、という疑念はどうしても湧いてしまう。地方拘束法、といってよいほどで、確かにその基本的な方向性は、特に地方分権改革を経てそれなりに地方自治の理念に沿うものになってきているが、だったら一部ですでに議論されているように、地方自治法自体を抜本的に見直し、簡素化した「地方自治基本法」にしてしまっても良いのではなかろうか。ちなみに、もちろんそんな主張は、本書には一片たりとも記されていない。