自治体職員の読書ノート

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【2211冊目】モー・ヘイダー『虎狼』

 

虎狼 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

虎狼 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

 

 



人里離れた邸宅に住む夫婦と娘の3人を襲った、警察官を名乗る2人の男。彼らは3人を監禁し、じわじわといたぶっていくのだが・・・・・・。

この筋書きから映画『ファニー・ゲーム』を思い出した方もいると思う。これ、個人的には「後味の悪い映画」ベスト5に入る映画なのだが、ただ本書はそこに「捜査する刑事」のフェイズを付け加え、さらに監禁された家族と監禁者二人の関係にもひねりを加えることで、ミステリー度が高い一篇に仕上がっている。

その意味で本書は、監禁虐待モノとしてはそれほど「イヤミス」ではないが、しかしその結末のとんでもなさときたら、考えてみればこれほど後味が悪く陰惨なものはない。一方、監禁された家族の場面と捜査側である刑事の場面を短く切り替えることで、物語全体がリズミカルで読みやすいものになっており、監禁の裏にある事情を追ううちに一気に読めるリーダビリティもすばらしい。本書の奥付では、著者は「サスペンスの新女王」と形容されていたが、まさにその形容にふさわしい充実の一冊である。

 

 

ファニーゲーム [DVD]

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