自治体職員の読書ノート

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【1534冊目】ジョー・ヒル『ハートシェイプト・ボックス』

ハートシェイプト・ボックス (小学館文庫)

ハートシェイプト・ボックス (小学館文庫)

続けざまに読んでいるジョー・ヒル、三冊目。と言っても、書かれた順から言えば短編集『20世紀の幽霊たち』に続く二作目で、これが長編第一作とのこと。

こないだ読んだ『ホーンズ 角』に比べるとストレートな展開だが、それでも飽きさせずに最後までページをめくらせるのだから大したものだ。だいたいこの600ページを超えるボリュームを一気読みさせるべらぼうな筆力ときたら、まったく新人離れしている。著者はスティーヴン・キングの息子とのことだが、キング自身が筆名を使って書いていると言われても驚かない(リチャード・バックマンという「前科」もあることだし)。

さて、本書の内容を一言で言えば、8ビートのロックンロール・ホラーである。いや、主人公のジュード・コインがロック・ミュージシャンだからそう言っているのではない(タイトルの「ハートシェイプト・ボックス」がニルヴァーナのナンバーだからでもない)。暴力的でリズミカルでダークテイストなこの小説の世界観が、まるごとロックンロールしているのだ。

ホラーの分類としては幽霊モノなのだが、この幽霊の描写がものすごい(特に、目の代わりに「黒い殴り書きのような何本もの線がうねうね動いている」というのが、やたらに不気味である)。しかもこの幽霊、何もできない無力な存在ではなく、人の心に入り込み、暗示し、支配するという「実力行使」もしてくるのだ。ジュードはこの幽霊をめぐり、そして己の過去をもめぐって、この世のものならぬ存在と死闘を繰り広げる。

読みながら何かに似ていると思っていたのだが、今、書きながら気付いた。「ジョジョ」だ。あの異様な世界観、あのビートの効いた展開、あの「理詰めの恐怖感」。ジョー・ヒル荒木飛呂彦を知っているかどうかは分からないが、う〜ん、考えれば考えるほど似ている。ジュードのキャラも、クラドック(幽霊)やその娘でジュードの元彼女、アンナのイメージも、考えてみたら、読みながら荒木飛呂彦の画をイメージしていた。

それにしても、ホントにこれが長編第一作だとしたら、その才能はべらぼうだ。『20世紀の幽霊たち』をまずはオススメしたいが、そこでピンとくるものがあったら、ぜひこのロックンロール・ホラーに身を委ねてほしい。ああ、早く四冊目が出ないかなあ。

ホーンズ 角 (小学館文庫) 20世紀の幽霊たち (小学館文庫) ジョジョの奇妙な冒険第2部戦闘潮流総集編 上 (集英社マンガ総集編シリーズ)