自治体職員の読書ノート

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【929冊目】原田尚彦『行政法要論』

行政法要論

行政法要論

広く、そして深く、行政法全体をバランスよく扱い、しかも著者ならではの視点が活きた行政法のテキスト。

何よりありがたいのが、最新の法改正や主な判例をきちんとフォローした版であること。法改正については当然ともいえるが、判例についてはここ数年で、行政計画をめぐるいわゆる「青写真」判決からの判例変更、鞆の浦の工事差し止めに係る地裁判決など、かなり重要なものがいくつも出てきているだけに、それを行政法全体のフレームの中で位置づけ、解説してくれているのはありがたい。

ふだんからきちんと勉強していればそんな必要はないのだろうが、生憎「忘れた頃の行政法」読書なので、全体像をひととおり思い出すのにはうってつけだった。もっとも、いわゆる入門書ではなく、一冊にまとまっているとはいえかなり本格的な「基本書」なので、1週間くらいかけて、他の本を読みながらちょっとずつのリハビリ読書。おかげで少し思い出してきたが、細かいトピックや学説などは、また今度読む頃には忘れているんだろうな。

それはともかく、本書は最新情報を反映しているのみならず、内容そのものがたいへん充実している。重要度に応じて文字の大きさを変えたメリハリのある構成もたいへんわかりやすい。そして、単に通説をそのまま紹介するだけでなく、著者なりの視点から「あるべき行政法の姿」を模索する姿勢も、読み手自身が主体的に理解を深めるには最適と思われる。以前読んだ『地方自治の法としくみ』でも感じたが、著者の考え方が強く出ていることで内容にメリハリが生まれ、通説に対する理解もかえって深まるものなのだ。