自治体職員の読書ノート

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【408冊目】山口道昭「図説新地方自治制度」

図説新地方自治制度―分権改革の新展開

図説新地方自治制度―分権改革の新展開

地方分権一括法が施行され、新たな地方自治制度が始まってから間もない時点で、変わったばかりの地方自治制度の解説を試みた一冊。

すべてのページが見開きで完結しており、左側に図表、右側に文章というスタイルも統一されているのが最大の特徴。そのため、文章を読んで分かりにくいところも、図表をチェックすることで直観的に理解することができ、結果として理解が深まるといったメリットがある。内容は、分権改革で変わった点を網羅的に取り上げるもので、特に国と地方との関係の変化を制度面から描き出すものとなっている。

そもそも、この時の地方制度改革は国と地方のあり方を根本的に見直すきっかけとなった・・・はずであった。地方は国と対等となり、法解釈や条例制定を通じて地方独自の政策を展開し、意見がぶつかりあう場合は第三者機関による公平な裁定を得ることができるはずであった。しかしながら、改革後数年を経た現在、多くの自治体がいまだ「眠った」ままにあるのが現状であるということを、分権改革直後に書かれた本書を読むにつけ、思わざるを得ない。本書の「はしがき」にも書かれているが、地方分権は誰が望んでいたのだろうか、とさえ考えてしまう。

もちろん、制度が変わったからと言って突然に自治体の首長や職員、議員らのメンタリティが変わるわけでもない。制度改革自体も、税源委譲が象徴的だが、必ずしも十分な内容ではなかった。市町村合併後期高齢者医療制度など、その後の国の施策が地方分権に逆行するようなかたちで進んできたきらいもある。しかしそれでも、新地方自治制度の発足から数年、大きく変わった自治体とそうでない自治体の二極分化が進んでいるように思える。なぜ、どういうところからそうした差が生じてくるのか、興味のあるところである。