自治体職員の読書ノート

自治体で働くソーシャルワーカーが、読んだ本を紹介します。

【2476冊目】手塚治虫『鉄の旋律』

 

鉄の旋律―The best 3 stories by Osamu Tezuka (秋田文庫)

鉄の旋律―The best 3 stories by Osamu Tezuka (秋田文庫)

 

 

 

「黒手塚」全開の短編3本を収録した一冊。手塚治虫のダークサイド。

 

「鉄の旋律」は、冒頭こそゴッドファーザーの漫画版っぽい印象だが、超能力で義手を動かすというとんでもない発想の方に向かっていく。着想自体は荒唐無稽だが、自分の能力が自分でもコントロールできなくなるという恐怖は実は普遍的なテーマであって、それこそ核兵器などにも言えること。主の身体を離れてずるずる動き回る義手がなんとも不気味。

「悪魔の開幕」はある種のディストピアものだが、この状況は今から見てもリアリティがあって恐ろしい。びっくりしたのは「イエロー・ダスト」で、恐るべきは、このとんでもないラストをもった作品が1972年のヤングコミック誌に掲載されたということだ。たくさんの子供が血まみれで倒れているシーンは、トラウマものの衝撃度。手塚治虫の残酷さの極致を見た思いがする。