自治体職員の読書ノート

自治体職員です。仕事の関係上、福祉系が多めです。読書は全方位がモットー。

【1106冊目】石原豊昭・國部徹・飯野たから『はじめの一歩 戸籍のことならこの一冊』

戸籍のことならこの1冊 (はじめの一歩)

戸籍のことならこの1冊 (はじめの一歩)

自治体職員なんぞをやっていると、親戚や知人などによく聞かれるのが「税」のことと「戸籍・住民票」のことだ。

どちらも普段は自分の生活とあまり関係ないように見えるのだが、実はいろんなところで影響してくる。しかも、知らないと案外制度構成がややこしく、だからといって知らんぷりして放っておくと痛い目にあうこともある。知っていそうな人がいれば、聞きたくなる気持ちもわかる。

だからといって職員ならだれでも税や戸籍について精通しているってわけじゃあない。そう言って聞いてきた人には説明するのだが、そうするとたいていは「なんで知らないの?」っていう目で見られてしまうか、「知ってて教えてくれないんじゃないの? ケチ!」なんて言われたりするのがオチだ。まあそれはともかく、税についても戸籍についても、自治体業務のいろんなところで関係してくるのだから、ある程度のことは知っておいた方が良いのは事実。

ということで、税はまたの機会にして、今回は戸籍について入門書を探してみた。

本書は弁護士さんがメインで書かれた一冊。制度や手続きといった実務面の説明に徹していること、実際の戸籍謄本などのサンプルがしっかり載っていること、イラストによる図解がたいへん分かりやすいことが特徴で、要するにとにかく分かりやすいのだ。

特に実際の戸籍のサンプルは、昔ながらの縦書きの「戸籍謄本」と、電子化されたあとの横書きの「戸籍全部事項証明書」の両方がそれぞれの事例ごとに載っている。縦書きの方はある程度は見慣れていても、横書きのやつが出てくるとアワアワしてしまう方は多いと思うが(実は私もそのクチだ)、本書があればもう大丈夫だ。

個人的には、除籍のことや改製原戸籍のことなど、いままで何となくあやふやになっていたところがすっきり理解できたのが良かった。また、債権管理をしているような部署だと、相続の知識もないと困ることが多いと思うのだが、戸籍をたぐって相続人を探しだすのがいかに大変か、本書を読むとよくわかる。離婚の痕跡を自分の戸籍からキレイに消す方法など、実用面(?)も充実。う〜ん、やはり自治体職員をやっている以上「戸籍のことはよくわかりません」はちょっとマズいようである。