【217冊目】伊坂幸太郎「チルドレン」
- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/05/21
- メディア: 単行本
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5つの短編。うち「チルドレン」「チルドレン2」が家庭裁判所を舞台にしたものとなっている。家裁を舞台にした小説はちょっとめずらしいかもしれない(マンガでは「家栽の人」が有名だけど)。陣内という破天荒な調査官がどの短編にも登場する。
この人の小説を読むのは、実は本書がはじめて。文章や構成にスピード感があってなかなか読みやすい。しかし、なんだかリアリティがない感じがしてならなかった。登場人物も個性的だしストーリーもそれなりに面白いのだが、いかにも「つくりもの」という印象がぬぐえない。会話にしても台本があってそれを読んでいる感じ。まあ、それがこの作家の味わいといえばそれまでなのかもしれないが。
しかしそういうことを抜きにすれば、小説としてのレベルは決して低くはないと思う。家裁を舞台にした2篇では、ところどころで人間関係の本質に触れた、心を打つセリフが出てくるので「おっ」と思う。もっともこれは、こういう舞台を選んだ作家の「作戦勝ち」なのかもしれない。