hachiroetoのものぐさ遊読帖

自治体職員。仕事は福祉系。読書は雑食系。

【173冊目】宮脇淳・富士通総研PPP推進室「PPPが地域を変える」

PPPが地域を変える―アウトソーシングを超えて 官民協働の進化形

PPPが地域を変える―アウトソーシングを超えて 官民協働の進化形

PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)について、具体的な導入事例を中心に取り上げた本。

当初は業務委託というスタイルが中心的だったと思われる行政の民間化も、今ではさまざまな方法が確立し、実際に多くの地域で導入されている。PPPはそのうちのひとつというよりは、むしろ多様な民間化手法を大くくりであらわし、包括する概念となっているように思われる。したがって、PPPを論ずることはすなわち行政の民間化全般を論ずることであり、いわゆる「官と民」の役割分担を考えることであるということになる。

本書の特徴は、さまざまな行政分野、さまざまな手法でなされているPPPの事例をかなり網羅的に取り上げていることである。全体にやや記述が平板なきらいはあるが、PPPといっても実にいろいろなパターンがあることが分かる内容となっている。個人的になるほどと思ったのは、総務・人事系といわれる内部管理部門の外部化である。この分野は案外手続きが煩雑で、似たような業務を多くの部署で並行的に行っており、ありていにいえば無駄が多い。しかも地味な分野だけに民間ノウハウの導入も図られにくく、役所の旧弊な部分がもっとも色濃く表れている。しかし民間の会社ではもっともコストダウンを図りやすい(対外的に見えない部分であるから)ところであるため、もっとも合理化・低コスト化が進んでおり、導入効果が相対的にかなり大きいものとなるという。

ほかにも「仕様書方式」ではなく性能発注にするなどの意識転換により民間の創意工夫の余地を大きく残すよう配慮する、長期にわたる事業ではリスク管理を織り込んだ民間化を図るなど、PPPにおける行政・民間双方の注意点も随所に触れられており、個別事例であることによる限界もあるだろうが、導入にあたって類似事例をあたることによって参考になる部分は多いと思われる。