hachiroetoのものぐさ遊読帖

自治体職員。仕事は福祉系。読書は雑食系。

【153冊目】 浅野史郎・橋本大二郎・北川正恭「知事が日本を変える」

著名な3人の「改革派」知事による、地方と日本をめぐる鼎談。

行政改革とその評価、職員の意識改革、国や市町村との関係など、話題は多岐にわたるが、共通して言われるのがとにかく情報公開の重要性である。新たな施策を行うにせよ、議会との関係にせよ、あるいは国との関係にせよ、そのプロセスを透明化して住民の監視のもとに行うのと、これまでどおり密室で意思決定するでは、その結果がまったく違ってくることがよくわかる。特定団体からの圧力や政治的ないきさつなどで意思決定がゆがめられているケースはどの自治体でも少なくないと思われるが、そうした澱のような部分が、情報公開によってかなりの部分払拭されるからである。あとは首長以下、職員の意識と能力の問題であり、逆に言えば元々持っている行政としての能力を妨げる要因を、情報公開によってかなり低減することができるということである。特に三重県の裏金問題のケースのように、一般的に考えれば表沙汰にしたくないような事案こそ、その気さえあれば逆に情報公開の追い風となり、行政改革の起爆剤となりうる。そして、こうした情報公開の徹底を進めるためのキーマンが、知事であり市区町村長なのである。

こうした大胆な改革ができる背景には、いうまでもなく現在の地方自治制度において自治体の首長に与えられている絶大な権限がある。行政のトップでありながら、住民から直接選出されているため、議会に対しても対等以上に渡り合うことができる。一人の人間に強力な権限が集中することの危険性もあるが、反面、一夜にして大きな改革がなされる可能性が開かれている。本書に登場する3人の知事はそれぞれのやり方でそのメリットを十全に引き出すことで、日本の地方制度システムがもつ潜在的な可能性を明らかにしたといえよう。地方自治のダイナミズムと醍醐味をトップの視点から見ることができ、一職員としても示唆されることの多い本である。