【117冊目】桜井章一「シーソーの『真ん中』に立つ方法」
- 作者: 桜井章一
- 出版社/メーカー: 竹書房
- 発売日: 2007/03/06
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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心を病む人が後を絶たないこの社会にあって、「心のバランスをとり」「まっとうに生きる」ための方法を、69の断章仕立てでつづった本。
著者は20年間無敗のまま引退した伝説的な麻雀打ちであるが、本書には麻雀のことはほとんど出てこない。書かれているのはすべて日常生活における態度や心構えの問題である。使われている言葉は決して難しくない。語りかけるような調子で書かれたひとつひとつの言葉は、頭で理解するというより、心に直接響くものをもっている。それはおそらく、著者の言葉がすべて、自身の体験や実感から湧き出たものだからだと思う。
われわれは日々、仕事や日常生活の中で、またさまざまな情報にさらされる中で、ともすれば間違った方向に心を偏らせ、心を病んだり、悪しき感情にとらわれて回りに迷惑をかけてしまいがちである。本書はそんな時、心のバランスを取り戻し、正しく生きるための「基準点」「立ち戻るべき場所」を示してくれている。もっとも、読んで分かった気になっていては意味がない。できることから少しづつでも、行動に移さなければならないのである。
読むたびに印象深い部分が変わりそうな本であるが、最初に読んで心にもっとも大きく響いたのは、「自分の心の中に、子供をひとり置いておきなさい」というもの。自分ひとりだと思うと、われわれは得てしてずるいこと、卑怯なこと、悪いことをしてしまいがちだが、そんな時、自分の中に子供がいると、その子供が「駄目だよ」と言ってくれるからである。また、「心を折ると、心は骨折する」という言葉もあった。指の骨が折れると痛いように、心を曲げ、心を折ると、折られた心も痛みで悲鳴をあげているんだよ、と。とにかく、全部の内容をここで紹介したいくらいの素晴らしい本。心にいつも迷いや悩みがある人、悪い感情を捨てられない人(私自身もそうだが・・・・・・)、そして何より、子どもをもつ人すべての人には、「まえがき」「あとがき」だけでも読むことを無条件でお薦めする。