【95冊目】宮崎学「突破者の条件」

- 作者: 宮崎学
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 1998/02
- メディア: 単行本
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日本のアンダーワールドについての本といえば、ロバート・ホワイティングの「東京アンダーワールド」がジャーナリストとしての視点から日本の戦後史の裏面を鮮やかに描いているが、本書は、アンダーワールドの「内部」で長く活動してきた者による、内部から見た日本の裏面を描いた本といえる。
宮崎氏のご意見そのものについては、個人的には賛成しかねる部分も多い。しかし、本書に書かれている、戦後の経済成長の裏で行われていた日本の裏社会と大企業や官僚、政治家などのいわゆるエスタブリッシュメントとの深いかかわりや、彼らの「卑しさ」「汚さ」についての厳しい指摘については、自身の激烈な体験から出た言葉であるだけに非常に重く、真実味がある。特に総会屋については、彼らばかりが悪役視されることが多いが、むしろ企業の側の求めに応じて、もちつもたれつの関係の中で成り立ってきたことが分かる。そして、その後の商法改正や警察の取り締まりによって総会屋は激減したが、企業は相変わらず生き残っているのである。