【45冊目】玄侑宗久「禅的生活」
- 作者: 玄侑宗久
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2003/12/09
- メディア: 新書
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現役の僧侶であり芥川賞作家という異色のプロフィールをもつ著者が書いた、禅の世界についての案内である。
この本は、禅的な「ものの見方」を知ることで、日々の生活を楽にしていこうという方向性で書かれている。基本的には、私を含めた禅のシロウトを相手にした本なので、さまざまな禅の世界の逸話や具体例、さらには最新の脳科学の知見まで取り入れつつ、いくつかのキーワードに沿いながら分かりやすく「禅」というものの考え方、ものごとの捉え方を説明してくれている。そのため、全体を通してとても分かりやすい。また、なるほどと思える発見もいくつもあった。
さらに、キーとなる言葉は太字で記されているが、これがまた、禅に特有の、一見カラッとしているが、つきつめようとすると底の見えないような言葉ばかりであって、なんともいえない味わいがある。だいたい、禅の世界自体、説明し切れてしまう部分はある意味ほんの表層であり、実際には、本などでは扱いきれない、実践を通してのみ達しうる領域というものがある(らしい)。本書では、そのあたりの事情についてもちらりと窺うことができ、安易に理解できた気にはさせてくれない。そのあたりは本職の僧侶ならではの書き方といえるだろう。