自治体職員の読書ノート

読むために書くのか、書くために読むのか。

【本以外】映画『サーチ』を観てきました

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行方不明の娘を父親が探すというミッシング物だが、特徴は映画全編がすべて「画面上」で展開すること……というと、イロモノの実験作かと思われるかもしれないが、いやいや、映画そのものとしての作りがしっかりしていて、まったく飽きさせない出来であった。PCの画面だけではなく、ニュース映像やビデオ録画などもうまく織り交ぜ、動きのある場面もしっかりフォローしている(車の移動シーンをどうするのかと思ったら、なんとカーナビの画面だった)。

むしろネット検索やマルチウィンドウの仕組みがストーリーにうまく活かされているのが斬新で面白い(関係ないはずの人物の顔が同じことに、ウィンドウを並べていて気付いたり、グーグルマップである地点を検索して、別の地点と意外に近いことを発見したり)。さらに、画面の外が「見えない」ということが独特の緊張感につながっている。ネットの匿名性の怖さも効果的に使われていて、ネット社会の「便利さ」と「恐ろしさ」が絶妙に織り込まれた一作になっている。

とはいえ、年頃の娘を持つ父親としては、リアルでは知らなかった娘の一面がSNS上に次々と出てくるシーンは、もはやミステリーというよりホラーである。父親が娘の友達を誰一人知らず、フェイスブックの「友達」リストを片っ端からあたっていくくだりなど、何とも身につまされるものがある。

それにしても、全部が「画面上」の展開というのは映画として異例と言えば異例だが、考えてみたら、これこそ映画でしかできない表現かもしれない。小説では、マルチウィンドウ上で電話しながら検索するようなシーンは再現できないだろう。ある意味で、本作は映画の新しい可能性を切り開いた作品なのかもしれない。