自治体職員の読書ノート

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【308冊目】川田茂雄「社長をだせ! 実録クレームとの死闘」

社長をだせ!―実録クレームとの死闘

社長をだせ!―実録クレームとの死闘

クレーム対応は、企業のみならず自治体にとっても頭の痛いテーマである。本書は、カメラメーカーの社員として数多くのクレーム対応を経験した著者による、その豊富な体験を通じたクレーム論であり、企業の事例とはいえ、自治体職員にとっても参考になる点がたくさん含まれている。

クレーム対応というと、おそらく多くの人が逃げ腰になってしまうだろう。優秀といわれる職員でも、クレーム対応をやらせるとボロボロ、ということは結構ある。しかし、実はクレーム対応には、他の業務にも通じるいろいろなテーマが凝縮しているのであって、決してバカにはできないのである。傾聴力、共感能力、コミュニケーションスキル、的確な判断力、柔軟性など、クレーム対応に求められる要素は実に幅広い。全人格的な要素が総動員されると言っても過言ではないだろう。

とはいっても、いきなり徒手空拳でクレーム対応、というのでは心細い。本書でも例が挙げられているように、ユスリ・タカリ目的や愉快犯型のクレーマーが増えている昨今では尚更である。その点、本書はクレーム対応の実例が豊富に挙げられており、さらにはクレーマーの類型、対応のヒントなどが分かりやすく示されている。その中で、不当、悪質なクレーマーに毅然として対応する方法も重要だが、特に大事だと思うのは、むしろクレームで指摘された内容を、業務の改善に結び付けていくという姿勢であろう。こうした姿勢については、どうやら民間企業のほうが行政よりはるかに先を行っているように思う。確かに悪質なクレーマーもたくさんいるが、だからといって安易に「クレーマー」とレッテルを貼ってしまうと、そこから学べることも学べなくなってしまうのである。