【419冊目】外岡秀俊「情報のさばき方」
- 作者: 外岡秀俊
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2006/10
- メディア: 新書
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著者は朝日新聞の編集局長であり、長く新聞記者として第一線で活躍されていた方である。本書は、2つの面で参考になった。
ひとつは、マスコミの記者の方々の内部事情というか、仕事の仕方がある程度見えた点である。われわれ自治体職員も、部署や事業(あるいは不祥事)などによって差はあるが、マスコミの方々の取材を受けることがある。しかし、その時の会話や渡した資料からこちらが想像している記事の内容と、結果として掲載される記事の落差に驚くことが多い。しかし、本書は実際の取材による情報収集から選別、記事を起こすまでのプロセスがリアルに書かれており、タイトなスケジュールの中でマスコミが何を考えて取材し、記事を書いているのかを、現場目線で示してくれている。マスコミのジャーナリスト独特の感覚のありようも感じ取ることができ、マスコミ対応の大きなヒントとなった。
もうひとつの参考になった点は、やはり本書のテーマである「情報のさばき方」である。新聞記者のハードさとは雲泥の差であるが、自治体においても情報収集はきわめて重要である。しかし、その方法論は確立されているとはとても言えず、それぞれの職員が勝手な方法でやっているだけではないだろうか。本書はその点、情報の「つかみ方」「読み方」「伝え方」に分け、新聞記者の方法論だけではなく、CIAなど海外の諜報機関のノウハウも交えつつ、情報収集・活用の要諦を分かりやすく書いている。ちなみに、そのエッセンスを5つに集約した基本原則が冒頭に示されているが、これだけでもヒントになると思われるので、再掲させていただく。
基本原則1 情報力の基本はインデックス情報である。
基本原則2 次に重要な情報力の基本は自分の位置情報である。
基本原則3 膨大な情報を管理するコツは、情報管理の方法をできるだけ簡単にすることである。
基本原則4 情報は現場や現物にあたり、判断にあたっては常に現場におろして考える。
基本原則5 情報発信者の意図やメディアのからくりを知り、偏り(バイアス)を取り除く。